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2016年12月13日16:19

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「予想屋」

エヌ氏は友人の誘いで初めて競馬場を訪れた。

馬の走り、客の歓声、何もかも新鮮な出来事だった。


友人「馬券を買いに行こうぜ」

エヌ氏「いや、馬券は買わずにどの馬が勝つか予想して楽しむことにするよ」

友人「そうか、まぁ、それもいいだろう。初めて来て一文無しになったら二度と来たくなくなるものな」

エヌ氏はギャンブルに興味のない人間なのだ。


友人「なぁ、どの馬が勝つと思う?」

エヌ氏「そうだな。じゃあ、一枠の馬かな。直感だけど」

友人「感で当たれば苦労しないよ」



と笑っていた友人だったが、エヌ氏の予想は見事に当たり、一枠の馬が一着でゴールした。

友人「ビギナーズラックってやつか。 じゃあ次のレースはどれが勝つと思う?」

その後も、エヌ氏は次々と一着の馬を当てていった。

友人「最後のレース、お前の予想した馬に賭けてよかったぜ。今日の負けを取り戻すことができたよ」

エヌ氏は嬉しかった。

予想が当たったからではなく、友人が喜んだからだ。



それから友人はたびたびエヌ氏を競馬場に誘うようになった。



ある日、いつものようにエヌ氏が予想をしていると、知らない男が話かけてきた。


社長「私はこの競馬場の社長だ。君が勝ち馬を当てる才能を持っていると噂で聞いたよ。どうかね、うちの競馬場で予想屋として働かないか?」


予想屋とは、競馬場に来た客に勝ち馬の予想を教える仕事だ。

もちろん、よく当てる予想屋ほど人気が高い。

エヌ氏は、「自分の予想で多くの人が喜ぶのなら」と言い、競馬場の予想屋となった。


『エヌ氏の予想は当たる』


このことは、働き始めて一月もしないうちに競馬場で話題になり、競馬ファンはこぞってエヌ氏の予想を聞くようになった。

エヌ氏は嬉しかった。

金のためとはいえ、自分がこんなにも人に必要とされるとは思ってなかったからだ。


しかし、そんな日々も長くは続かなかった。

競馬場に来る客がどんどん減っていったのだ。


そして、エヌ氏は社長から通告を受けることとなる。


社長「エヌ君、すまないが、君はクビだ」

エヌ「なぜですか!? 私は予想屋として完璧な仕事をしているのに」

社長「あぁ、君の仕事は完璧だ。 しかし、完璧すぎたんだ」











社長「客の全員が君の予想する馬を買うようなってしまった」


「倍率1倍の競馬の何が面白いのかね」
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