ピンポーン
エヌ氏の家の呼び鈴が鳴った。
「誰だ?こんな朝早くに」
エヌ氏が面倒くさそうに玄関のドアを開けると、思ってもいない人物たちがいた。
「エヌだな。 警察だ!お前を、『器物損壊容疑』で逮捕する!」
いったい何の話だ!?
何かの悪い冗談かと思ったが、どうやら本物の警官のようだ。
わけがわからぬまま、エヌ氏はパトカーに乗せられ、警察署に連行されていった。
『取調室』
取調室の中に入ると、強面の刑事が待っていた。
警察「今から取り調べを行う。いいか、正直に話せ」
警察「お前は、○月○日に、深いため息をついた。 そうだな?」
エヌ「え?」
警察「もう一度聞く。○月○日に、深いため息をついたな?」
エヌ「ええ、その日は祝日だったのに休日出勤をすることになってしまって、、、それがどうしたんですか?」
警察「犯行を認めたな」
エヌ「僕が何をしたっていうんですか?」
警察「現場の刑事から器物損壊容疑だと聞いているはずだ」
「地球を破壊した容疑とな」
エヌ「ち、地球だって!」
警察「近年、進んでいる地球温暖化。その容疑者がお前だ」
エヌ「ぼ、僕は何もしていないぞ」
警察「何を言ってる。 先ほど自供しただろ。深いため息をついたと」
警察「我々警察が調べた結果、地球温暖化は急激な二酸化炭素の上昇によるものと判明した。 その二酸化炭素を排出しているのが、お前の深いため息だ」
『ため息で地球を破壊!容疑者を逮捕!』
このニュースは即日、あらゆるメディアで取り上げられ全世界へ発信された。
容疑者逮捕から2日後、エヌ氏の初公判が始まった。
止まる気配のない地球温暖化を防ぐための、異例のスピード公判だ。
この裁判には、世界中のメディアが押し寄せ、裁判の行方を見守っていた。
そして、判決を迎えた。
裁判長「地球温暖化が被告人の深いため息にふくまれる、二酸化炭素が原因なのは明らかである」
裁判長「よって、、、被告人は、死刑」
エヌ氏に、極刑が言い渡された。
エヌ氏の弁護士は、この犯行は故意ではなく過失によるものだと主張し減刑を求めたが、地球を守るためだと聞き入られなかった。
また、裁判中にもため息をつき、罪を重ねたことで陪審員の心象を悪くしたのも原因だ。
エヌ氏の刑は、その日の夜に行われた。
地球の危機が去ったと知らせるために、エヌ氏の死刑の様子が生放送で世界に配信された。
エヌ氏の首に巻かれたロープ、、、足元には奈落、、、
執行人がボタンを押すと、エヌ氏の足元が開いた。
ガクンッ
落下の衝撃でエヌ氏の首の骨は折れ、彼の息の根は止まった。
「よかったー。 これで地球は救われた」
全人類が、安堵のため息をついた。
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