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2016年03月18日10:05

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イージス艦にダミーは効くか。

北朝鮮、日本海に向け弾道ミサイル発射=韓国軍
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&from=diary&id=3903828

先日書いた、AIと碁の話でしんちろさんに頂いた、
「イージス艦の対処能力が10程度ならダミーのミサイルが効果がありそう」というコメントについて、長々と書いておきます。

イージス艦はいわば全自動ミサイル&航空機迎撃システムです。
公表されている性能では、128目標を認識、10以上を同時に迎撃ということになっていますが、
これは1980年代末の公表値ですので、現在では倍以上になっていてもおかしくはないと思われます。
が、ここではこの数字をそのまま使用します。

さて、ある1隻の船に対し、漫然と攻撃機で飛んで行ってばーんとミサイルを撃って帰ってくることを考えます。
1機に搭載できる、対船舶用の対艦ミサイルは2発が相場、世界的には数種類、4発積めるものが存在します。
日本の「やや国産」支援戦闘機F-2も4発積める優秀機ですので、
ここでは4発を打ちっぱなして帰ってくるとします。

この場合、イージス艦はきちんと5目標を認識(ミサイル4発と母機のF-2)。
まあ、戦闘状態であれば(平常状態では船同士でぶつかったりしているので、イージス艦。。)、即座に迎撃モードに入ります。
ミサイルの性能も公称値を採用しますが、日本の戦闘機が撃てる対艦ミサイルは射程が150〜200km、
イージス艦が放つ対空ミサイルは中距離用で100km、短距離用で25kmくらいです。
「遠くからミサイル撃てばいいじゃん」的なことを言う人が結構いますが、ミサイルってあんまり飛ばない(砲撃戦をしていた時代からするとめちゃめちゃ飛びますが)んですよね。

現代の技術と戦術からすると、F-2が放つ対艦ミサイルは、ほとんどまっすぐに目標に向かっていきます。
低空モードとかポップアップモードを持ってはいますが、飛んできた迎撃ミサイルを避けたり、欺瞞するような行動はとりません。
また、現在の迎撃ミサイルは、回避行動をしない目標を外すことはほとんどないので、基本的には、F-2が撃った対艦ミサイルを迎撃ミサイルが全て撃墜し、母体であるイージス艦とF-2戦闘機はどちらも無傷、ということになりそうです。

もちろん、これとは別に、イージス艦が威嚇をする可能性はあります。F-2がまだ対艦ミサイルの射程に到達するまえ、当然迎撃ミサイルも届きませんが、
「それ以上まっすぐこっちに来ると当たっちゃうよ?」というタイミングでミサイルを撃ちます。
この威嚇の迎撃ミサイルの発射はF-2からレーターで見えていますから、
1)攻撃用の対艦ミサイルを投棄して回避行動をする(割と安全)
2)攻撃が不十分であるとわかっていても対艦ミサイルを早目に撃って回避行動する(ちょっと危険)
3)遮二無二、予定の位置まで行ってきちんと撃つ(十中八九死ぬ)
のどれかを選択しなければなりません。現代では「多分」、3はないので、2あたりが妥当でしょうか。
ただ、今後はこの手の分岐は考えず、ひたすらイージス艦とミサイルだけを追いかけます。

さて、今回は1機のF-2戦闘機で考えましたが、今度は10機で考えます。
前述のように、イージスシルテムは128目標を把握した上で10目標を同時迎撃できます。
F-2戦闘機10機が、曲芸のようなタイミングで、同時に対艦ミサイルを発射したとして、合計50目標を同時に迎撃することになりますね。
ただ、この時、迎撃するべきものが50になったからといって、イージス艦がフリーズすることはありません。
脅威度が高いものから順に、、この場合はF-2戦闘機はイージス艦に向かって突っ込んでくるわけではないので脅威度が低く、
低空モードのミサイルは初期迎撃が難しく(=後回しにすべき)速度も遅いので中くらい、直線モードのミサイルは速く最初に到達するので脅威度が高い・・・というような感じで、整理して、順番に対処していきます。
(ここでは断定的に書いたものの、実際の優先順位は公表されていません)

この場合、同時に電波妨害なども行われ、ミサイルだけでなく砲撃による迎撃、最終的には機関砲による迎撃もしますが、40発もミサイルを同時に撃たれると、1隻のイージス艦では多少撃ち漏らすんじゃねーのという気もします。
正直、このあたりはわからない部分ですね。


さて、ここで最初の話題に戻るんですが。
攻撃側が、ダミーのミサイルを撃ってイージスシステムを突破しようとしたとします。
外観上(といってもレーダー上)、敵にダミーを悟られないようにするには、速度などの動きを本物のミサイルと合わせる必要があります。
ようは、撃った瞬間ヘロヘロと落ちていくようでは、イージスシステムは「あー、あれ後回しだな」と判断してダミーの役目を果たしませんし、
逆に本物よりも素晴らしい動きをするのでは、「それに火薬を詰めた方が良くない?」となります。
したがって、ダミーと言っても火薬以外は本物か、ほぼ本物ということになります。

また、40発撃って、仮に2〜3発命中するとした場合、ダミーが多ければ多いほど「命中したのは全部ダミー」みたいな状態になります。
「あれに火薬積んどけばよかったじゃん!」みたいな。
そもそも、ミサイルの価格のほとんどは電子システムと飛行システムが占めています。火薬なんて誤差みたいなもんです。
かといってダミーから電子システムを省くと「どうやって誘導すんのよ!?」となり、誘導されていないミサイルはイージスシステムからわかってまうので除外され・・・
となって、結局ダミーといえどもほぼ本物になってしまいます。
さすがに飛行システムは省けないでしょうし。

さて、現在主流の対艦攻撃は、2種類あります。
一つは、ここで書いたような、シャーっと飛んで行って、ミサイルばーんと撃って戻ってくるような戦法。
お互いに丸見えですので、最終的には物量が物を言う・・・かもしれません。
もう一つは、低空侵入です。
地球は丸いため、軍艦からは30〜40kmほど先に「地球の陰」が発生してしまいます(レーダーでも)。
なるべくここに隠れるように海面すれすれを飛んで行って、40〜50kmまで接近、相手が自分のレーダーに入った瞬間にミサイルを撃って、逃げてきます。
この場合、相手から見えないほか、距離が近いため相手が考える時間を大幅に減らせること、迎撃の手段が減る(中距離の地対空ミサイルではもう間に合わない)などのメリットがあります。

しかしデメリットも2つ(以上)あり、一つは超絶技巧が必要なこと。もう一つは、敵側が飛行機を持っている場合、高空侵入の何倍も危険だということです。
特に相手側が迎撃戦闘機を飛ばしている場合、見つかった瞬間に対艦ミサイルを捨てて逃げないと、ほぼ詰みます。飛行機同士の戦闘は、高空にいる方が有利なのですが、わざわざ地を這うような低空にいるのでは勝ち目がないからです。
(大戦末期の日本軍航空機はある意味異常だなぁと思ったりしますが脱線自粛。)

そんな危険でデンジャラスな任務に、百戦錬磨のプロが、100億円以上する飛行機で、
「ダミー積んでいくの?」となると、多分誰もそんなことをしたくないと思われ、心情的にも積めないのではないかなという気がします。
「心情的にも積めない」という部分、今後AIが、「損耗を覚悟で」作戦を立案したりすると、「アリ」になっちゃうかもしれませんという意味です(笑。
まあ、とにかく、ミサイルというと万能感が漂うのですが、こういった前後の手順、実際の性能(射程距離とか電子戦能力)、コストや人命などを考えると、誘導ミサイルにダミーを混ぜることは今後ともほとんどないんじゃないのかなというお話です。


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