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2015年10月26日10:13

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ブランコのように縦の動きと横の動きを切り離せばいいんだ!

日本ではゼロ戦が有名ですが、ゼロ戦と並び称される名機に隼があります。
ゼロ(零式艦上戦闘機)は海軍の戦闘機、隼(一式戦闘機)は陸軍の戦闘機ですね。
世代交代やバージョンアップに失敗した(と言っていいでしょう)ゼロ戦と異なり、
順調に性能を伸ばした隼を好むマニアも多く、
また陸軍の代表的機種として、当時から有名な飛行機でもあります。

表題は、その隼戦闘機の開発者である糸川博士が、
隼の次の戦闘機を開発中に閃いちゃった瞬間を表したものです。

(引用)
公園に行って、ぼんやりベンチにすわっていたとき、男の子と女の子がブランコをしていた。同じ鉄棒にブランコが二つぶら下がって、一つに女の子が、もう一つに男の子がのっていたわけである。そのブランコは、長さが全く同じだった。振り方の周期は、だから、女の子も男の子も、両方が同じはずなのだが、見ていると、男の子と女の子のブランコは実際、周期が違う。そこで、私はハッとなった。じつは、隼戦闘機の設計でもさんざん苦労したことなのだが、方向舵を踏んで方向を変えようとすると、かならずローリングといって横の運動が起こる。飛行機は、横の運動と縦の運動がカップルする。その神経を断つことができれば、画期的な戦闘機になると、そのとき、チラッと頭にひらめいたのである。この次の戦闘機は、方向舵の操縦、補助翼の操縦などあらゆる操縦、それらが全部カップルしないような、神経が全部断ち切られたようなものであれば、これはものすごいスピードが出るはずである。同時にまた、ものすごい命中精度と上昇力が出るはずである。

糸川博士、飛行機の天才かもしれないが文章表現は下手だ(断言)。

それはさておき、馬鹿と天才は紙一重と言いますが、
生半可な航空ファン程度では彼が何を閃いちゃったのか全く分からないはずです。
これを理解するには、ちょっと常識を置いておいて、真摯に考えてみる必要があります。

飛行機には、上下方向への動きを統制する昇降舵と、左右方向への動きを統制する方向舵がありますね。
ただ、車と違ってハンドルを切っただけで曲がるわけではなく、
基本的には方向舵を曲げただけでは多少向きを変えて滑っていくだけです。

飛行機の挙動はバイクに似ていて、曲がるためには傾ける必要があります。
方向舵を曲げつつ、昇降舵を左右別の方向へ動かして機体を傾け、
バイクのようにナナメの姿勢で回っていきます。

この時、それまでの水平飛行通りのエンジン出力のままでは、
翼が傾いた分揚力を失って少し落下するので、エンジン出力をあげたり、
補助翼やフラップで揚力を稼いだりしながら旋回するわけです(それでも減速してしまう)。
なので、立川飛行場であった事故のような出力不足による離陸困難の場合、
旋回するのは自殺行為なんですが、意外と教えられないものなんでしょうかね。

さて、この時。
方向舵を動かすと、基本的には飛行機は首振りをするのですが、
ほとんどの飛行機で若干機首上げの応力が働きます。
なぜかというと、機体の重心軸に対し、方向舵は上側にあるのことがほとんどですから、
機体の後部で軸よりも上側に空気の抵抗が発生=ブレーキがかかることとなり、
結果として機首上げの回転力がかかってしまうわけです。

同じように、昇降舵の方も、上げ舵・下げ舵・旋回のような傾きの操作、すべての場合において、
機首上げか機首下げのどちらかの回転力がかかります。
第二次世界大戦当時の飛行機の場合、機首上げになることが多いように感じますが、
これは外観上の印象であって、厳密には重心軸の記入された図面が必要です。
また、ここでは考慮していませんが、重心軸と、エンジンの推力の軸がずれている場合もあり、
また空力の軸が別にある場合もありますので、結構複雑です。

さらに、この動きの影響は縦(機首の上げ下げ)だけでなく、横方向にも発生します。
機首の左右ではなくて、横転の方向(ローリング)ですね。
左に機首を向ける時、方向舵を左にきると、時計回り(右下がり)の回転力が発生してしまいます。
これも補正しなければならないので、飛行機の制御って、結構難しいですねえ・・・。
のちにデジタル制御になり、この辺の調節は自動でやってくれるようになりますが、
手動では結構面倒くさいぞこれ、漠然と飛ぶだけならいいんですけどね。

で、例の糸川博士が閃いちゃったのも、このことだと思われます。
飛行機の設計は、ある速力を前提に行われますので、
それ以外の速度では補正をかけ続けています。
例えば、昇降舵の取り付けが空力の軸よりもずれている場合は、
速度を上げれば上げるほど機首上げの(設計によっては機首下げの)力が加わるため、
少し逆方向に舵を切っておく必要があるわけです。
するとその分が空気抵抗となり、速度や上昇力に影響するんですね。

さらに当時の戦闘機の場合、機体に固定された機関銃で相手を狙いますから、
相手が少し左だな!と思ったら、機体ごと左に向ける必要があります。
この時に、前述の通り別の方向に力が働くと狙いにくくてしょうがないので、
左に舵を切った時にロールしない、機首上げしない、縦と横の動きが切り離された戦闘機ならば、
「同時にまた、ものすごい命中精度」が得られるのではと思われます。

と、いうようなことは、
初めて糸川博士の迷言を目にしたときからしばらく考え続けてようやく解決したのですが、
未だわからないのは、
「あんたなんでブランコ見てる時にそんなことを閃いちゃったの?」
という部分です。
よしんばブランコを見て閃いたのが事実だとしても、それ他人に伝わると思ったわけ?みたいな。
編集さんにカットされなかったんですかねえ(ぼやき)。

天才の考えることはよくわからん・・・というお話。。


戦闘機で「ダイヤモンド」福岡
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=3680291
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