旅の荷物はとても多かった。
その中に結構大きい紙袋があった。
あれは岩手県の盛岡市から
荷物の仲間入りすることになった。
お世話になったZさんが
お弁当を入れてくれたのがきっかけだった。
粗末に扱わなくても
紙袋だから
すぐボロボロになった。
宮城県塩竃市で
紙袋は新しいのになった。
仙台の銘菓、萩の月の紙袋だった。
僕はそれに食料やらティッシュ、すぐ手に取れるものを中心に入れていた。
それは結構頑丈な紙袋だった。
茨城県の土浦市にて。
イトーヨーカドーの椅子で休んでたら
笑ったおばあちゃんが荷物を見ながら近付いてきた。
「いやぁ懐かしい!」
「ん?」
「私、昔仙台に住んでたの!」
「この紙袋見て、つい嬉しくなっちゃった!仙台の方?」
「あ、いえ。北海道です。仙台はついこの間行ってきました。」
そのおばあちゃんとしばらく喋った。
土浦に越してきたけど
正直あまり馴染めてないという。
仙台に帰りたいなぁと思うこともよくあるみたいだった。
そんな中、たまたま見つけた萩の月の紙袋。
あの時の笑顔は今でもよく覚えてる。
おばあちゃんは別れ際
僕に千円くれた。
えっ?なんで?
となる僕に
「嬉しくなったからいいの。旅頑張って。」
千葉県佐倉市ユーカリが丘にて。
この辺は建物がいっぱいあるのに
銭湯は一つもないらしい。
人づてで聞いた唯一お風呂の入れる場所は
スパランドのアクアという大きな建物しかなかった。
\1,500。
高すぎる…
お風呂でこれは高すぎる…
しかし4日くらいお風呂入ってない僕には
躊躇してる余裕なんてなかった。
頭かゆい。髪ベッタベタ。
はい!迷惑な客がきましたよー!
と言わんばかりに入店して
受付を済ました。
受付のお姉さんが
お風呂には持っていかなくてもいい荷物を
フロント内で預かってくれた。
萩の月の紙袋も一緒に。
\1,500分堪能してやる!
という意気込みで
ゆっくり浸かった。
仮眠もとり、漫画も読んだ。
よし、もういいだろうと
フロントに戻り
先程のお姉さんに
荷物預けてもらってた者ですと告げると
「あ、ちょっと待ってて下さい

社長が…。」
「へ?…社長?」
俺なんか悪いことしたか
シャンプー、ボディソープを空容器に入れたことがバレたか…
社長と名乗るおじさんがやってきて
「これ全部君の荷物でしょ?仙台の方?」
「ご飯まだでしょ?一緒に食べよう。」
と
ここの食堂に案内され
ご飯をごちそうになりながらも
僕のことを話した。
社長は
すごいねぇ〜と感心するように聞いてくれた。
萩の月の紙袋があったから
仙台の人だと思ったらしい。
何をかくそう
社長は仙台の人だった。
萩の月が目にとまったらしい。
そして
僕はスタッフルームに案内されることになる。
スタッフさんがいる中
3曲唄った。
拍手をもらった。
さらに社長さんは
封筒をくれた。
アクア無料券と
三千円。
「唄聴かせてもらったから。」と。
入浴\1,500だったスパランド、アクア。
結果
お風呂入る
仮眠する
漫画読む
ご飯タダになる
唄聴いてもらう
無料券もらう
お金が増える
ケチらなくてよかったと心から思った。
萩の月の紙袋
全てこいつのおかげだと思っている。
それから
間もなく
紙袋はボロボロになって
新しい紙袋となる。
それが何度か繰り返されることになる。
よって僕の手元に萩の月の紙袋はない。
紙袋エピソードはこのくらい。
あ、あと
広島で乗せてくれた人の車に置き忘れて
帰らぬ紙袋となったやつもいたなぁ…。
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