mixiユーザー(id:4125308)

2026年09月28日13:46

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ユーロスターは75メートルの深さでも水が入らないのですね。リニアモーターカーは、南アルプスの山頂から1400メートルスカイツリーの3倍もの深さの位置で、山の保水域に。よく入りこまないものですね?

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どちらも極限の土木工事ですが、「水との付き合い方」を見ると、両者にはまったく正反対の難しさとアプローチがあります。

​1. ユーロスター:なぜ75mの海底深くで水が入らないのか?

​「海の下を掘る」と聞くと、いつ天井が破れて海水が滝のように落ちてきてもおかしくない印象を受けますが、実は掘った地層が天然の強力な防水シートの役割を果たしています。

​水を通さない「チョーク・マール層」を狙い撃ちした ドーバー海峡の海底には、粘土を約30%含んだ石灰泥岩(チョーク・マール層)という厚い地層が走っています。この層は非常に緻密で水を通さず、かつ柔らかくて掘りやすいという、トンネル掘削にとって理想的な地層でした。ルートはこの層の真ん中だけをなぞるように精密に設計されています。

​掘ると同時に密閉する技術(シールド工法) 巨大な筒状のマシン(シールドマシン)で掘り進めながら、マシンのすぐ後ろで頑丈なコンクリート製のブロック(セグメント)を組み立ててリング状に固定し、さらにその隙間へ特殊なセメント材を隙間なく注入して海底の水を完全にシャットアウトしました。

​つまり、海水を鋼鉄やコンクリートだけで無理やり防いだのではなく、「もともと水を通さない岩盤層の懐に潜り込んだ」ことが成功の鍵でした。

​2. リニア(南アルプス):なぜ「保水域に入り込まない」と言えないのか?

​ご指摘のとおり、スカイツリー(634m)の2倍以上、1,400mもの岩盤の下を通る南アルプストンネルですが、実のところ「保水域を避けている」のではなく、巨大な水がめ(保水域)のど真ん中に突入して掘り進める工事になっています。

​ここがまさに、今も大きな社会問題・技術課題となっている核心です。

​山そのものが巨大な「天然の水がめ」 南アルプスは年間3,000ミリを超える雨や雪が降る国内有数の多雨地帯で、崩れやすい脆い断層や亀裂が無数に走っています。そこに降った水が地下深くへと染み込み、岩の割れ目に凄まじい水圧(最大で水深1,000m以上の圧力)で蓄えられています。

​「入り込まない」のではなく「猛烈な湧水と格闘しながら掘る」 保水域を避けて掘るルートは地理的に存在しないため、トンネルは必然的にその帯水層(水を多く含んだ地層)を貫くことになります。工事では、前方に向けて長いボーリング(水抜き孔)を打ち込み、あらかじめ水圧を下げたり、薬液を注入して岩の隙間を固めたりしながら慎重に進めています。

​なぜここまで議論になっているのか? トンネルを掘ることで、山に蓄えられていた地下水がトンネル内に大量に噴き出し、それが川や地下水の水位を下げてしまう懸念(特に大井川水系の水資源や生態系への影響)があるためです。「抜けてしまった水をどうやって川に戻すか」「周囲の水源に影響を与えないか」について、徹底的な科学的検証と対策工事が続けられています。

​海の下のユーロスターは「水を通さない理想的な地層を安全に選んで通した」のに対し、山の下のリニアは「日本で最も険しく、水圧の高い保水山塊を真っ向から貫く」という、世界の土木史上でも類を見ない過酷な条件に挑んでいるといえます。
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