まだギブスは外れないため、傷の一部が見える。
割れたガラスが落ちた部分が動脈の急所から外れて、長く深いギザギザな傷跡の一部が見えた。
まだ3本の指は全く動かない。感覚がなく、爪をきりながら間違えて切っても感じないのだろうと、爪切りに真剣だ。
手術が終わって執刀医は全力だったのだろう片目の充血とはいえない出血が見られる眼差しで、だいぶ傷は深く関節の中央までの深さまで達していましたと語った。
太い長いギザギザが、動脈を奇跡的にも避け、厚いガラスが砕け落ちたと、よく分かった。
手のひらの四本の神経を切断したそれは、動脈を避けた。医師はそれらの神経、筋、腱の接合を行ってくれた。
子供の頃の昔から神様に恵まれたような命を守られてきた息子だが、今回の様な生命の瀬戸際の究極を見たのは母として初めてだった。
その傷を見つめながらこの子の生まれた意味はまだ後にあるなのだなあと感じてならなった。
AIは、突入の時の力で手首を曲げてあったことにより、急症を守ったのですねと話します。
何年かかるのかわからない四本の神経の切断と複合。今でも残る激痛。
痛み止めは、いつまで続くのだろうか?息子は説明はしてくれない。
転ぶことも物体に触れることさえできない。
車で走る道路の小さな凹凸による揺れでさえ痛みが走り続ける苦労。
今回もまた人間を観察して、消えた人間の第六感や、ミラーニューロンと知性の補償を、取り返しのつかなくなったいま、資本主義はどう補償するのだろうか?
重要な部分には人は足りない生まれてこない。
地球の価値ある部分は抜け落ち。価値の感覚はバランスが崩れて容赦ない。
もはや人の仕事は人類からはずれて、直動的欲望である可能性は高いと、繰り返す実感。
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