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いまは、タクシーという、べんりな物がありますが、
むかしはそんなものはありません。
まあ、「かご」というものが、いまのタクシーのよう
なものでしょうか。そんな、むかしの話でございます。
ある男が急用をおもいだして、かごにのりました。
「これ、かごや。急用でいそいでいるんだ。金はたく
さんだすから、いそいでくれ」
「
へい。では、しっかりつかまっていてくださいよ」
それからちょうしよく、「えいっほうっ、えいっほうっ」
と、いそいでゆきますが、どういうわけか、うしろから
きたかごにおいぬかれてしまいました。
客の男は腹を立てて、「いそいでくれというのに、なぜ、
いそいでくれない! みてみろ、今、うしろからきたかご
が、さきにいったぞ」と、いうと。「でもだんな、そい
つは、むりですぜ。なにしろ、むこうは、三まいですからね」
「三まいとはなんだ?」「へい、三人でかつぐことです」
「三人でかつげば、そんなに早いのか」
「へえ、そりゃあもう。まあ、お代金もそれなりですがね」
すると、客の男、「よし! それならば、かごをとめろ!
金は三人分はらってやるから、おれもでて、三人でかつごう」
おしまい
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