ロシア「経済制裁」のウラで…これから日本が直面する「ガス油田開発」の厳しい現実
プーチンがほくそ笑む
2022.03.31
政府要人の海外資産凍結、最恵国待遇の取り消し……ウクライナを救うためロシアに科される経済制裁に、ゼレンスキー大統領も感謝の意を表明した。だがその裏で、日本経済の危機が迫っている。
すべてを捨てて撤退?
「『サハリン2』は、現在、日本で消費されるLNG(液化天然ガス)8%分をまかなっています。それを失えば国内電力需要の約3%分が吹っ飛び、年間1兆円規模の国民負担増になる可能性もある。
それでも日本政府がロシアとの取引は一切やめる、と決定してしまったら、ロシアは日本が手放した権益を中国に売り飛ばすでしょう。残念ながら、そのシナリオはありえることです」
「私たちはサハリン2が海のものとも山のものともわからない時期から、知恵を絞って、諦めずに作り上げたという自負があります。
撤退とは、権益放棄です。何百億円と注ぎ込んだプラントもすべてを捨ててくるという意味ですよ。けれども、もう一民間企業がどうこうできる問題ではなくなってしまった。サハリン2における日本の立場が危機にさらされていることは間違いありません」
三井・三菱の関係者は、ともに苦渋の表情で週刊現代の取材にこう明かした。
ウクライナ戦争が日本経済界を激震させている。
英ロ日の共同プロジェクトとして鳴り物入りで建設され、'09年から日本のエネルギー安保の一翼を担ってきた巨大天然ガスプラント・サハリン2から日本勢が駆逐される懸念が高まっているのだ。
オイルショック以後、日本は輸入先を中東以外にも分散する政策をとってきた。そのひとつが、冷戦終結後のロシア極東地域での「サハリンプロジェクト」だ。
サハリン1(原油)では伊藤忠や丸紅などが、サハリン2では三井物産と三菱商事が出資・プラント建設と運営に当たってきた。なかでもサハリン2は高い技術力の必要なLNGを産出し、コスト競争力も高い、虎の子のプロジェクトなのである。
ところが2月28日、ウクライナ侵攻を受けて、サハリン2に共同投資していた英シェルが突如、全面撤退を表明する。
「国際メジャーである英シェルの場合、サハリン2から仕入れた天然ガスは、単に市場で販売するという用途がメインでした。一方、日本企業の場合はサハリン産の天然ガスが国内供給網に組み込まれてしまっているという点が大きく異なります。
サハリン2からのLNG調達が始まってわずか2年後には東日本大震災が発生。その際サハリン2からの天然ガスがなければ、日本は電力逼迫を乗りきることができなかったかもしれません」(ロシアNIS経済研究所所長・服部倫卓氏)
エネルギー自給率100%超のアメリカや北海油田を持つイギリスと、エネルギー資源がなく、地震国の日本は事情が違う。「サハリン2」は日本のエネルギー安保の生命線と言ってもいい。だから逃げるに逃げられない苦しい状況なのだ。
しかしいくら日本が手放したくないと思っても、プラントはロシア領内にある。プーチン大統領は、今、全世界からの非難を浴び、国内経済はデフォルト寸前だ。この大苦境を乗り切るため、あらゆる手段を講じてくる。「反ロ」に舵を切った日本に「逆制裁」を科してくる可能性は極めて高い。その材料として使われるのがサハリン2だ。
見通しが甘すぎた
そもそもプーチン大統領は、かつて日本からサハリン2を取り上げようとした“前科”がある。
'94年のプロジェクト発足当初、サハリン2の事業主体「サハリン・エナジー」社は、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル55%、三井物産25%、三菱商事20%の割合で出資がなされていた。
しかし工事が8割近く進んだ'06年、ロシアの天然資源省が突如、環境問題を理由に事業停止を命じたのだ。ロシア社会論の第一人者である、青山学院大学名誉教授・袴田茂樹氏が明かす。
「ロシア政府にとって環境問題は完全な口実に過ぎませんでした。外資のサハリン・エナジーを実質的に国有化してしまうことで、そこから生み出される権益を手に入れたいというのが彼らの本音だったのです。
この時点で日本は'09年から産出されるLNGの半分以上を購入することになっており、引くに引けない。結局、ロシアの半国営企業・ガスプロム社が株式の50%+1株を保有し支配権を握るということで妥協したのです」
三井物産は12・5%、三菱商事は10%と、それぞれ当初の半分の株しか持つことができなくなった。それでも当時の関係者は週刊現代の取材に、「ロシア政府が入ってきたことはある種の保険がわりで、悪い取引ではないと思った」と語っている。
だが、その見通しはあまりに甘すぎた。袴田氏が続ける。
「日本側のエネルギー担当者は皆、『ロシアは資源開発に関して経済的な観点からしか考えない。だからロシアでのエネルギー開発はリスクが低い』という楽観的な見方しかしていませんでした。
しかし私は'05年にプーチンと会った時、彼が公然と『ロシアの石油や天然ガスなどの資源は、わが国の最も重要な戦略的手段である』と断言したのをはっきり聞いています。
それは少人数での会合でアジアからの参加者は私だけでしたが、彼が自国の資源を対外政治の手段だと認識しているのは明白でした」
何のことはない、プーチンは最初からサハリン2を奪うつもりだったのだ。
現在、世界中から集中砲火を浴びているロシア政府にとって、中国はなんとしてでもつなぎとめておきたい国のひとつだ。中国を自陣に引き入れるための“エサ”として最適なのが、実はサハリン2だという。
「サハリン2」を呼び水に、中国とロシアが手を組めばどんなことが起こるのか…その予測を後編記事『習近平がほくそ笑む…ロシア「経済制裁」のウラで、中国が狙う「日本潰し」の全内幕』で報じる。
『週刊現代』2022年4月2・9日号より
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93803
>「日本側のエネルギー担当者は皆、『ロシアは資源開発に関して経済的な観点からしか考えない。だからロシアでのエネルギー開発はリスクが低い』という楽観的な見方しかしていませんでした。
なんてバカなんだろう。
チャーチルが石油を戦略物資と認識した20世紀初頭以来、世界各国がエネルギー資源を求めて戦争と同盟を繰り返してきました。
今は石油だけでなく、天然ガスやウラン等も仲間入りです。
イラン革命で痛い目に遭いながら、相変わらずロシアとの交流を続けているのが日本企業です。
欧州企業は、ウクライナからの名指し非難を浴びて、撤退を進めています。
日本はいつ迄もモタモタしてますから、ゼレンスキー大統領が名指ししない限り、資金提供をやめそうにないです^^;
ロシア軍の“性暴力”疑惑、ゼレンスキー大統領が告発 避難民の銃殺も 仏企業名指しし「資金提供やめなければならない」 待遇の悪さが暴行誘発か
2022.4/2 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20220402-B4DCQ3NZRNO5JIHZXVAZUB7EIQ/
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