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2022年02月23日00:06

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ウクライナ問題でロシアが被るダメージは大きい

ロシア・ウクライナ情勢、計算を誤ったプーチン大統領
侵攻するにせよ引き下がるにせよ、すでにロシアを傷つけた
2022.2.21(月)
(英エコノミスト誌 2022年2月19日号)

それでもプーチン大統領は勝利を宣言しようとするだろう。

 ほんの一瞬、明るいニュースが出たように思えた。

 2月14日、ロシアの国営テレビに映し出されたウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ侵攻が目前に迫っているという西側の警告にもかかわらず外交努力を続けるべきだという外務大臣の進言に、一言「よし」と答えたのだ。

 その翌日、ロシア国防省がウクライナとの国境付近に派遣していた約18万人の部隊を一部撤収させると発表した。当初から派遣の理由に挙げていた軍事演習が終了したというのがその理由だった。

 各国の政府当局と市場は小さな安堵のため息をついた。

 悲しいかな、オシント(公開されている情報源からデータを集めて分析する諜報活動)はすぐに、若干数の部隊が動いているものの、それよりずっと多くの部隊が戦闘に備えていることを明らかにした。

 西側諸国の安全保障当局者の多くはプーチン氏の意表を突く率直さで、同氏が嘘をついていると非難し、侵攻が迫っているとの警告を繰り返した。

 たとえ部隊が撤収しようと、この危機はまだ終わらない。

 そして何が起ころうと、戦争になろうとなるまいと、プーチン氏はすでに、ウクライナ侵攻を画策したことによって自国ロシアに害を与えた。

戦術的な得点は稼いだかもしれないが・・・

 この見立てには、西側の識者などから異論が多数出てくるだろう。

 例えば、プーチン氏は一度も発砲せずに世界の注目を一身に浴びることができたとか、ロシアが重要な国であることを改めて証明したなどと指摘する。

 さらに、プーチン氏はウクライナを不安定にし、同国の将来は自分の手中にあることを全員に印象づけた。

 この先、戦争を回避することによって北大西洋条約機構(NATO)から譲歩を引き出せるかもしれない。

 また国内においては自らの政治的手腕を強調し、経済面での困窮やアレクセイ・ナワリヌイ氏をはじめとする野党勢力の弾圧から国民の目をそらすことができた(ちなみに、ナワリヌイ氏は2月半ば、再び法廷に引っ張り出された)――といった具合だ。

 しかし、こうした得点は戦術的なものにすぎない。たとえプーチン氏がこれらを手に入れたとしても、長期的かつ戦略的に見るなら、プーチン氏は勢力を失った。

 一つには、世界中の人々の目がプーチン氏に注がれてはいるものの、敵を刺激することになった。

 かつてプーチン氏を「人殺し」と形容し、自分が大統領になるのを阻止しようとした同氏を嫌っているに相違ないジョー・バイデン大統領が先頭に立つ西側陣営は、ロシアがクリミアを併合した2014年当時よりも厳しい制裁を科すことでまとまっている。

 2019年にフランスの大統領から「脳死状態」だと切り捨てられたNATOは、ロシアと国境を接する側面を守ることに新たな意義を見い出した。

 NATOと距離を置くことを常に好んでいたスウェーデンとフィンランドが加盟する可能性すら浮上している。

 新しい天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」を浅はかにも支持してきたドイツは、ロシア産のガスはドイツが対処しなければならないお荷物であり、侵攻が起きればこのプロジェクトが頓挫するとの見方を受け入れた。

 もしプーチン氏が、脅せば西側はひるむだろうと考えていたのであれば、自分の誤りを正されたことになる。

ロシアが失ったもの

 確かにウクライナは苦しんでいる。だが今回の危機は、自分たちの運命は西側とともにあるというウクライナ国民の間に広まった感覚を裏付けることにもなっている。

 確かにプーチン氏は、NATOに加盟するつもりはないとの言質をウクライナから取った。だが、加盟する可能性はずっとごくわずかだったのだから、大した価値はない。

 それよりも重要なのは、ここ数年無視されてきたウクライナが西側から外交・軍事の面でかつてない支援を受けていることだ。

 危機時に築かれたこうした絆は、ロシア軍が撤退したからといって、突然切れたりしない。これもまたプーチン氏の狙いとは正反対の展開だ。

 また、プーチン氏がミサイルや軍事演習を含めた欧州の安全保障問題を議論の俎上に載せたという指摘も正しい。だが、そのような議論は全員の利益になる。

 紛争の危険を減らしてくれるからだ。ウィン・ウィンの交渉がプーチン氏の勝利としてカウントされるのであれば、もっとやればよい。

 プーチン氏が被った損失のうち最も興味深いのは、ロシア国内でのそれだ。

 ロシアは要塞経済の構築を試みてきた。外貨準備を積み増し、米ドルで抱える外貨準備の割合を引き下げた。

 国内企業の外資依存度を低下させる一方、半導体からアプリケーション、そしてネットワークそのものまで網羅する独自の「技術スタック」構築に力を入れてきた。

 さらには、今でも外貨獲得の主要な手段である炭化水素の新たな買い手を見つけることを期待して中国に接近してきた。

 こうした取り組みは、西側諸国から科される制裁の潜在的なダメージを減じてはいるものの、完全に取り除いてはいない。

 ロシアからの輸出のうち、欧州連合(EU)向けは今でも27%を占めている。中国のシェアはその半分ほどだ。

 ロシアから中国に向かう天然ガスパイプライン「シベリアの力」は、2025年に完成しても、欧州に現在送られている量の5分の1しか運べない。

 深刻な紛争が生じれば、国際決済ネットワーク「SWIFT」を通じた制裁やロシアの大手銀行への制裁が発動され、金融システム全体が世界から切り離される。

 中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)に対する輸入規制のようなものも、ロシアのハイテク企業には大きな困難をもたらすだろう。

中国にさらに接近するリスク

 プーチン氏はこの相互依存と共存できるし、逆に中国にいっそう接近することもできる。

 しかしそれをやってしまうと、ロシアを外交上の仲間でありコモディティーを安価に提供してくれる発展の遅れた国だと見なしている、冷徹な政治体制の子分になってしまう。

 これは、プーチン氏が首にはめられて喘ぐくびきとなる。

 この独裁国家同士の連携は、ロシア国内に心理的な負担ももたらすだろう。

 プーチン氏がシロビキ――ウクライナで西側との結びつきや民主主義が強まると、自分たちがロシアを支配・略奪する力が脅かされると考えている安全保障当局の幹部たちのこと――に依存していることが露呈する。

 ロシア国家を支えるもう一つの柱である自由主義の資本家やテクノクラートにとっては、自分たちが敗れたしるしがまた増えることになる。

 トップクラスの優秀な人材がますます国を離れ、そのほかの人々はただあきらめる。経済の低迷と憤懣は反対運動につながり、そうなればさらに乱暴な対応がなされるだろう。

 では、これらをすべて承知のうえでプーチン氏がウクライナ侵攻に踏み切ったらどうなるだろうか。

 今回の危機で最も恐ろしい展開はこれかもしれない。ロシア側も西側も相手の裏をかこうとしているからだ。

 2月15日にはロシア連邦議会下院が、ウクライナ東部のドンバス地方における2つの自称「共和国」を承認するようプーチン大統領に促した(この2つの勢力は、現状は支配していないウクライナ領内の広い地域を自分たちのものだと主張している)。

 プーチン氏がいつでも好きな時に引ける引き金が1つ増えた格好だ。

自棄になって侵攻する可能性

 戦争になればウクライナが荒廃するだけでなく、戦争の脅威をはるかに上回るダメージがロシアにもたらされる。

 西側はさらに刺激を受け、ロシア産天然ガスに背を向ける決意を固める。ウクライナは長く尾を引く問題になり、ロシアはお金と人をどんどん失っていく。

 そしてプーチン氏は社会からのけ者にされる。

 ロシア自体も、短期的には制裁によって、そしてその後はさらに強化された経済自立政策と弾圧によって荒廃することになろう。

 プーチン氏は自分で自分を窮地に追い込んだ。追い詰められて攻撃に出る恐れもある。今回は野心を封じて撤退したとしても、後で攻撃に出るだけかもしれない。

 そのような破滅的な選択を抑止できる可能性が最も高い対策は、プーチン氏が繰り出す脅威に西側陣営が毅然とした態度を取ることだ。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68936
満身創痍のロシアと脳死状態から復活したNATOは、ウクライナを分割しバッファランドにすることになるでしょう。
緩衝国になったウクライナは中共からのくびきから解放されますが、代わりにロシアが中共経済圏に組み込まれる事になります。

ウクライナ東部に住んでいるロシア人を守る為に軍を派遣したプーチンは、支持率が上がり、国内の政敵も支持せざるを得ないでしょう。
独裁者にとって、国益よりも自分の命の方が大切です。

更に、トランプが脅しながらも出来なかったNATO加盟国の軍拡は、確実に実行されます。
ロシアから供される天然ガスが、米国産やカタール産に代わり、米国の貿易赤字が緩和され、ドルの支配が強まります。

ウクライナへ侵攻したロシアは、台湾に侵攻しようとしている中共と同じです。
ロシアが受ける経済制裁や軍事的圧力を、台湾侵攻後の中共自身と照らし合わせれば、十分抑止力になるでしょう。

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