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2021年12月16日22:33

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日本学術会議は中共肺炎に関する政策を提言せず

日本学術会議、コロナに関する政策を提言できず
科学記者の目 編集委員 滝順一
2021年12月15日 2:00

原子力発電所事故や感染症大流行などで危機に直面したとき、科学者は科学的事実に裏打ちされた適切な情報を社会に向け発信できるか。2020年2月に日本学術会議の内部で新型コロナウイルス感染症に関し、緊急に情報発信を試みる動きがあった。10年前の東日本大震災で得た教訓に基づく試みだったが、意見調整に手間取り時期を逸したうえ、内容の乏しいものになった。残された記録から経緯を探った。

11年の東京電力福島第一原発事故の際、事故の現状や見通しに関して科学者から国民に向け適切な情報を発信できなかった。研究者個人の発信はいくつかあったが、情報の不確実さを理由に大学や学会の中には個人ベースの発信を戒める動きすらあった。

結果的に科学者の信頼失墜につながった経緯を重くみた一部の科学者の働きかけで、学術会議は危機にあたって情報発信を担う「危機対応科学情報発信委員会」を設けた。議論を重ね委員会が立ち上がったのは19年9月。学術会議の会長と副会長、第1〜3部の部長らで構成する「幹事会」の下部組織として発足した。

「科学界のユニークボイス(統一した見解)を発することは難しいかもしれないが、科学者が何も声をあげないことの方が問題だという3・11の教訓を踏まえて設置した」と、発足時に委員長を務めた高橋桂子・早稲田大学研究院教授は話す。

第1部(人文・社会科学系)、第2部(生命科学系)、第3部(理学・工学系)から代表を集め、「医療・健康」「産業災害」「自然災害」の3つの分科会で活動を開始したのが19年12月だ。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まる直前だった。

委員会の「活動記録」によると、高橋委員長らは早い段階から「学術会議会長声明」として政府に対策強化を求める文書の発表を目指したが、第2部の代表からの強い反対を受け「委員会が提案・進言した会長声明案は、最終的に発信することができなかった」(活動記録から)。

委員長らが20年2月上旬に作成した「執行部案」は、
�〔唄峅饉劼簑膤悄ΩΦ羌ヾ悗覆媛椎修覆△蕕罎訌反イ鮖抉腓袈�力を求め、総力を挙げて検査体制を拡充
��感染症指定医療機関以外の医療機関が軽症患者に対応できる環境や体制を整備
�0緡鼎旅圓�届かない国への支援を強化
――と政府へ具体的な対策を提言している。のちに大きな課題となる検査体制や軽症患者への医療対応に言及している点が注目される。

これに対し、3月6日に学術会議が発した「幹事会声明」は「政府・自治体からの新型コロナウイルス感染症対策に関するお願いにご協力ください」と国民への協力の呼びかけになった。

経緯を追ってみよう。

20年2月初め、高橋委員長ら委員会執行部は「医療・健康リスク情報発信分科会」に議論を依頼した。2月6日に開いた同分科会で早くも考え方の違いが表面化した。「(新型コロナに対応している)専門家に任せることが重要であり学術会議からは意見すべきではない」との主張と「専門家に任せるというのは3・11の経験から間違った道筋に陥る」との考え方が真っ向から対立した。後者は分科会にオブザーバー出席した委員会の執行部を中心とした主張だった。

「専門家に任せろ」と「専門家以外の多様な意見を聞け」との対立を超えて、ユニークボイスにはならなくとも科学者の多様な声をまとめて発信するのが情報発信委員会の役割だったはずだが、その目的がまったく徹底されていなかったようだ。

その結果、2月14日の委員会には分科会が作成したものと委員会執行部が作成した2つの「会長談話案」が提出された。委員会でのやりとりが「記録」に残る。

副委員長の今田正俊・豊田理化学研究所フェローが「不確実性がある状況の中で異なる意見がある場合には、意見の分布を示しつつ全体としてどういう傾向にあるのかということを、国民に、政府に発信してゆくことが国民の利益につながる」と主張した。

一方、第2部から委員会に参加した委員が「専門家でもなく政府の内情にも通じていない人間が知ったかぶりをして意見をするということをこの時点でやるということは、やらない方がよい。失笑を買う」「国民の不安を煽(あお)るような意見を表明することによってその対立を深めてしまう」と反論している。

2案は山極寿一会長(当時)に提出された。山極会長は「談話」の扱いを幹事会懇談会に委ねることにした。懇談会は幹事会の正規の会合ではなく議事録を残さないことが慣例になっている。またこの間、学術会議の事務局から「会長談話」は、政府に対してではなく国民向けメッセージだとの指摘があった。

情報発信委員会は「案」を練り直し、2月27日開催の幹事会懇談会に提出したが、同懇談会は「第2部の反対を主な理由として破棄した」(活動記録から)。

その後、第2部の専門家らが中心となって「幹事会声明」がまとめられ、3月6日に公表された。「活動記録」はこの声明について「問題の深刻さに関する現状認識や対処の提案が少なからず弱められた」と記している。

情報発信委員会は活動を止め、20年10月に会長らが代替わりするとともに、現在は廃止され幹事会メンバーが主体の緊急対応ワーキンググループがつくられた。同月に表面化した菅偉義首相(当時)による一部新会員候補の任命拒否問題もあって、それどころではないとの学術会議の事情もあるだろう。

3・11の直後、原子力工学や地震学者を中心に科学界からの情報発信について強い反省の声が聞かれた。筆者は「いま科学者の役割は何か」と題する記事(11年4月3日付日本経済新聞朝刊「中外時評」)で、危機にあたって科学者は国民と情報を共有し手探りでともに打開の道を探る姿勢が重要だと指摘したことがある。

学術会議の情報発信委員会の迷走は、科学者の情報発信について関連する学会や科学者間の認識に大きなギャップがあったことを物語る。人文科学、医学、工学などの学術領域間の風土の違いも垣間見える。

またこの経緯は、学術会議が政府から独立して異なる見解を口にできない実態を示している。政府予算で運営される政府機関の一つであっても、学術の立場から政策提言することに学術会議の本来の存在意義があるのではないだろうか。

コロナ禍で学術会議がまったく情報発信しなかったわけではない。新型コロナ関連のシンポジウムを開き、広報誌「学術の動向」では新型コロナを特集している。ただこうした活動が国民に届いているとはいえないだろう。科学と社会のために学術会議はどんな情報発信ができるのか、もう一度、学術会議は自らに問い直されねばならない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD073JL0X01C21A2000000/
>人文科学、医学、工学などの学術領域間の風土の違いも垣間見える。

分裂するか、解散した方がいいねw
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