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2020年03月10日13:18

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「 口には出せなかったこと 」

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「 口には出せなかったこと 」
 
昨年の今頃のことです
そして これはあくまでも私の場合です
 
こういうことを言われました
 
「 どうして新しくできた慰霊碑にお参りに行かないの 」
 
「 私達は月命日には必ずお参りしているのに 」
 
「 新しい慰霊碑には 
   お母さんの名前も刻まれているのよ 」
 
「 お母さんの名前も刻んでもらって 有難いじゃない 」
 
「 きれいに整地されて 海が見渡せて 
  被災した当時より
  ずっと綺麗にしてもらえたじゃない 」
 
そして最後はこう言われました
 
「 お母さんを供養できないなら
  語り部なんてやめてしまえ 」
 
 
供養して 気が済むものなの
 
供養したら お母さんとおばあさんは帰ってくるの
 
供養したら 許されるものなの

母と祖母を想い続けるのはいけないことなの
 
形や形式や立派にすることが大事なの
 
新しく作られた慰霊碑の前に
未だ立つ気にさえなれない私には 
答えの出ない自問自答と
胸をえぐられる思いが残るばかりです
 
津波の去った穏やかな風景に立つ慰霊碑
慰霊碑から見えるきれいな海
 
津波で亡くなった母や祖母は 
どんな気持ちでその海を眺めるのだろう
 
言葉を投げかけられるたびに
遠くから様子をうかがった慰霊碑を思い出し
いたたまれない気持ちでいっぱいになりました
 
私は あの慰霊碑の前に
立つ気になれないでいるのです
 
私の母と祖母は 胸の中にいます
 
亡くなったことを何度も確認することで
胸の中の大切な人を 
何度も 何度も 喪いたくはないのです
 
お世話になった方からの言葉でしたし 
理解してもらえないことも感じ取れましたから
私には 一言も
正直な気持ちを伝える事が出来ませんでした
 
あくまでも これは私自身の心のありようです
 
震災後 こんな思いをすることは
ごく頻繁に起こりましたから
 
形は違えど 被災したみんなが
人に言えない苦しい思いを抱えているのは
充分すぎるほど感じるのです
 
区切り?
 
人の心は どうやって区切ればいいのでしょう
 
この時期だけ東日本大震災を思い出すのなら
普段は すでに 忘れてしまっていると言う事
 
そして 自分事にはなっていなかったと言う事
 
命日や月命日だけが特別ですか?
 
私は 大切な家族とはずっと一緒でいます
一日たりとも
忘れられるわけなどないのです
 
震災の前日までは
私達にも普段と変わらない生活があったのです
私達が 被災者と呼ばれるようになったのは
その翌日からなのです
 
誰の身にも起こりうることが
こんなにも突然
自分の身に起こるなんて
震災の前日 誰が予想していたのでしょうか
 

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