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2019年05月30日19:52

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終の棲家   〜古本屋巡りについて〜

私は読書が趣味だ。病気になってから集中力がなくなり、エッセイや短編ばかりを、週にに三回手に取る程度になっているが、
昔は一日に三冊以上は読んでいた、当然お金がかかる、行く先は当然古本屋ということになる。
幸い当時は神保町へ一本のところに住んでいたので、よく買いだめに通ったものだ。

天井までみっしり積み上げられた本に囲まれるのは至福だが、胸が詰まる思いも抱く。

「読んでくれ」
「読んでくれ」
「そして連れて行って」
そんな本達の声が聞こえてくるような気がするから。

そこにいる本は皆、捨てられたこともたちだ。
なぜ子供かというと、作者にとって本は小子供であるからだ。

ある日買ってきた本のカバーを何気なく外すと、そこには誕生日を祝う言葉がつづられていた。
売った人はこれに気が付いていたのだろうか、気が付かなかったのか。
どちらにしても切ない話に変わりはない。

私は本に言った。ここが君の終の棲家だよ、私が生きている限りは、もうどこへも流されないからね。
そして本を抱きしめた。

本は本棚には収まりきらず、今は押し入れの中にいる。それでその本があること、どのあたりにしまってあるかは覚えている。

私は本を何度でも何度でも擦り切れるまで読み返す性質だ。うっかりよみすぎて、表紙を見ただけで一瞬に言葉が脳裏にあふれ出すほどに。

それでも読み返す。頁をめくり、て手触りを、匂いを楽しみながらつづられた言葉たちにもう一度出会うために・
押し入れはまだまだ空いている。

また昔のように読める日が来たら、私はまた古本屋を始めることだろう。

捨てられた子供たちに出会うために。
選び選ばれ、終の棲家へ迎える本に巡り合うために。

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