■入管法審議、自公が質問1時間残して終了 野党も容認
(朝日新聞デジタル - 11月29日 21:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5397656
(論壇時評)外国人との共存 ずさんで不透明な壁が阻む 歴史社会学者・小熊英二
この国は、何を守りたいのだろう。
東京オリンピックを控え、建設や農業の人手不足を背景に、外国人の新在留資格を設ける入管法改正が審議中だ。菅義偉官房長官は「外国人が働く国を選ぶ時代になったと認識している。外国人が働いてみたい、住んでみたいと思える国を目指す」と述べた〈1〉。
しかし、日本の最低賃金で稼げるのは月額約千ドル。台北やソウルとあまり変わらない。2017年のスイスの国際経営開発研究所調査では、外国人材から見た魅力度ランキングで日本は63カ国中51位。15年の移民統合政策指数(MIPEX)では、日本は38カ国中の総合27位、差別禁止規定では37位だ〈2〉。
もちろん、差別のない社会はない。就労などの要件が、日本より厳しい国もある。だが日本の外国人政策には、系統的差別と呼ぶにも値しないような「ずさんさ」と「不透明さ」が目につく。
*
例えば日本では、永住申請に必要な居住要件が10年で、MIPEX調査対象国で最長だ。さらに異様なのは、これが帰化申請の居住要件の5年よりも2倍も長いことだ。永住の方が帰化より厳しいのは奇妙だが、永住権担当の法務省入国管理局と、国籍事務担当の民事局が、方針を調整していないためだという〈2〉。
この種の「ずさんさ」は数多い。過去には、弁護士法にも司法試験受験資格にも国籍要件がないのに、最高裁の要項だけが日本国籍を要求していて、司法試験に合格した在日韓国人が司法修習を拒まれた〈3〉。これはさすがに是正されたが、最高裁さえこの調子だったのだ。
一方でこうした「ずさんさ」は、意図的な「不透明さ」とも連動している。
日本では、永住申請が却下されても詳しい理由が開示されない。行政手続法や行政不服審査法の適用外だからだ。
昨年、あるネパール人家族の事例がNHKで放送された〈4〉。来日14年のホテル通訳の夫は、ホテル清掃員の妻、日本語しか話せない3歳の息子、小学2年の娘と暮らす。2度も永住権申請が却下されたが、理由が開示されず、どうしたらいいかわからない。NHKのディレクターは、14年分の納税証明書を見せられながら悩みを聞いたという。
日本の永住権や国籍を取得するには、一定の継続居住や経済力などに加えて、「素行が善良であること」という要件がある。法務省のサイトは「犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮」するとしか書いていない〈5〉。「社会への迷惑の有無等」が何なのかは、全く判(わか)らないのだ。
実はこの不透明さは、意図的に作られたものだった。1899年、国籍法を起草した法学者の穂積陳重(ほづみのぶしげ)は議会でこう述べた。帰化条件に「素行」(当時の条項では「品行」)を入れたのは、「我国(わがくに)の不利益なるものの帰化して国籍を取得致しますることを防御する」ためだ。一定の「条件を具備して居(お)りまする者」は許可すると書くと、政府が自由に拒否できなくなる。だから「品行」という「量り定めることが出来ない」要件を入れ、グレーゾーンを作ったのだという〈6〉。
米国の国籍取得にも「善良な人格(GMC)」という要件はある。とはいえ米移民局のサイトには、犯罪歴に関する証明など、要求内容が詳細に公開されている〈7〉。だが日本の法務省は、いわば「手の内」を明かしていない。
基準が不明なので解釈も一定しない。ある行政書士事務所は、「素行」要件の説明として、「例えば、義務教育の年齢であるのに日本で公的に認められた小中学校に通わせていなければ(日本人となる上では)憲法違反となります」と述べている〈8〉。この解釈だと、子供をインターナショナルスクールに通わせれば「素行」が悪いことになってしまう。
国籍取得に求められる日本語は不文律で小学校3年の漢字程度といわれ、諸外国と比べ厳しくはない〈2〉。だが外国人児童の教育に即した教員は不足で、日本語教育の教員免許制度もない。日本語学校は文部科学省の基準がなく、その多くが株式会社や有限会社の設置で、法務省入管局が実質公認している〈9〉。そのうえインターナショナルスクールも不可なら、どうしろというのか。
*
最初の問いに戻る。この国は、何を守りたいのか。「単一民族国家」を守りたがっているとは思えない。なぜなら「日本人」の記者や生活困窮者も、「自己責任」と切り捨てられているからだ。
むしろ守りたがっているのは、「ずさん」で「不透明」な状態そのものかもしれない。ルールが不明確で、密室で決定でき、不服申し立てを許さず、責任が問われない。この状態は、上に立つ者にとっては、面倒が少ないだろう。
だがルールの明確化と透明化は、外国人との共存に不可欠だ。「明確に書かれていなくても忖度(そんたく)しなさい」という姿勢は、異文化の人には通用しない。
韓国に生まれ日本で学び、カナダ国籍を持つ李承赫はいう〈10〉。先進国の基準はGDPや軍事力ではない。最大の基準は「どのような争いや問題も公平に解決する法的制度と社会的規範の信頼性」であり、「多文化で移民に立脚するカナダのような国は、そうした社会資本なしには機能し得ない」。文化や立場の異なる者にも通用する制度や規範を築くことは、楽ではないが、それなしに外国人と共存できる国は作れない。またこれは、外国人との共存だけの話ではないのだ。
*
〈1〉上久保誠人「外国人労働者は『新在留資格』で本当に日本に来てくれるのか」(ダイヤモンド・オンライン11月7日、
https://diamond.jp/articles/-/184431?page=5)
〈2〉近藤敦「持続可能な多文化共生社会に向けた移民統合政策」(世界12月号)
〈3〉田中宏『在日外国人 第三版』(岩波新書、2013年)
〈4〉ETV特集「アイ アム ア ライブラリアン〜多国籍タウン・大久保〜」(2017年10月14日放送)、詳細は飯塚淳「番組制作者からみた図書館の多文化サービス」(
http://jla-conf.info/104th_tokyo/img/104_section13.pdf)
〈5〉法務省「国籍Q&A」(
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji78.html)
〈6〉第13回帝国議会衆議院「国籍法案審査特別委員会速記録」第一号
〈7〉U.S.Citizenship and Immigration Services,“Good Moral Character“(
https://www.uscis.gov/policymanual/HTML/PolicyManual-Volume12-PartF.html)
〈8〉ASC申請支援センター「素行条件/帰化申請の条件」(
http://kikajp.net/kikajouken_sokou.html)
〈9〉田中宏「戦後日本の外国人政策を検証し、現在を憂う」(世界12月号)
〈10〉李承赫「韓国人がカナダ人になるということ」(アステイオン89号)
◇
おぐま・えいじ 慶応大学教授。1962年生まれ。著書に『単一民族神話の起源』『〈日本人〉の境界』など。
***************************************************************************
上記は、昨日の朝日新聞朝刊に掲載された、歴史社会学者の小熊英二氏の「(論壇時評)外国人との共存 ずさんで不透明な壁が阻む」の全文である。
�爐海旅颪蓮�何を守りたいのだろう。��
と、冒頭から、外国人労働者の受け入れをめぐり、小熊英二氏は問いかける。
�爐發舛蹐鵝∈絞未里覆ぜ匆颪呂覆ぁ�就労などの要件が、日本より厳しい国もある。だが日本の外国人政策には、系統的差別と呼ぶにも値しないような「ずさんさ」と「不透明さ」が目につく。��
小熊英二氏は、外国人労働者や永住申請をめぐるこの国の対応に�犒賄�的差別と呼ぶにも値しないような「ずさんさ」と「不透明さ」が目につく�瓩隼愿Δ気譴襪里任△襦�
では、この�犒賄�的差別と呼ぶにも値しないような「ずさんさ」と「不透明さ」�瓩箸楼貘硫燭魄嫐�しているのだろうか。わたしは、小熊英二氏の下記のような一文に答えが見えてくるように思える。
�犧能蕕量笋い北瓩襦�この国は、何を守りたいのか。「単一民族国家」を守りたがっているとは思えない。なぜなら「日本人」の記者や生活困窮者も、「自己責任」と切り捨てられているからだ。/ むしろ守りたがっているのは、「ずさん」で「不透明」な状態そのものかもしれない。ルールが不明確で、密室で決定でき、不服申し立てを許さず、責任が問われない。この状態は、上に立つ者にとっては、面倒が少ないだろう。��
�爐爐靴躰蕕蠅燭�っているのは、「ずさん」で「不透明」な状態そのものかもしれない。ルールが不明確で、密室で決定でき、不服申し立てを許さず、責任が問われない。この状態は、上に立つ者にとっては、面倒が少ないだろう。��
小熊英二氏がここで指摘している�狆紊卜�つ者�瓩箸蓮∪�治家であり、官僚のことであろうとわたしは考える。つまり�犢饌Δ亮圻瓩箸いΔ海箸澄��犢饌Δ亮圻瓩砲箸辰董�不服申し立てや責任が問われることはとても面倒なことなのだ。だからこのような面倒なことには最大限避けたい、ここに�犢饌Δ亮圻瓩遼棆擦�あるように思えてならないのだ。
しかしその本音が意味していることは、�犢饌Δ亮圻瓩呂錣燭靴燭噌駝韻反靭�に向き合うことを避けようとしているということである。
ノンフィクション作家で昭和史研究の第一人者である保阪正康氏は、BS-TBS『報道1930』という報道番組で、自民党憲法草案にある�狹傾長餡噺擬麩性瓩砲弔い銅,里茲Δ鉾稟修気譴討い拭�
保阪正康氏によれば、日本の統治機構は「政体(政治権力)」と「国体(天皇という制度)」によって行われてきたし、今も行われている。例えば、アジア太平洋十五年戦争に対して、昭和天皇は一貫して�猗紳个領�場�瓩鮗茲蕕譴討い燭海箸呂茲�知られている。昭和天皇は日本帝国陸海軍の�狢膰疑祗瓩箸気譴拭�しかしその大元帥である昭和天皇の意思に反して、軍部はアジア太平洋十五年戦争を引き起こしてしまったことになる。しかし国民にとってはあのアジア太平洋十五年戦争は昭和天皇の意思だと受け取られていたことになっていたというのである。
保阪正康氏によれば、「政体(政治権力)」と「国体(天皇という制度)」という二つの概念は、�狎�治権力�瓩魄�る者にとっては、国家の決定事項はすべて国家元首である天皇の名前で行うことができる。そしてその政治的結果の責任を自ら取る必要はないことになる。つまり日本の統治機構である「政体(政治権力)」と「国体(天皇という制度)」は、つねに�狎嫻い僚蟶澆里△い泙げ臭瓩魑�こし得る統治機構だと保阪正康氏は指摘されていた。
自民党憲法草案にある�狹傾長餡噺擬麩性瓩癲∪鐐阿痢崟�体」と「国体」の明確な分離による�狎嫻い僚蟶澆里△い泙げ臭瓩魄嫂泙垢襪發里世函∧欹綫宜�氏は批判されていた。保阪正康氏のこの指摘は�狆赦損砲龍儀鵜瓩�らによるものであり、説得性のある話だったと思いながら、その『報道1930』を見ていた。
保阪正康氏は�牋打椣豢��瓩箸い錣譴觚渋綟�本政治の在り方についても、戦前の�犢埓�一強�瓩忙�ていると指摘しておられた。�爛▲献�太平洋十五年戦争は軍部の暴走だった�瓩箸いΩ�解に対しても、軍部も行政機関の一部であって、その行政機関一部の軍部に日本国のあらゆる権力が集中したことで、あのアジア太平洋十五年戦争が引き起こされたのである。今の�牋打椣豢��瓩眄鐐阿劉犢埓�一強�瓩砲覆辰討い襪箸いκ欹綫宜�氏の指摘は一考の価値はあると思えた。
わたしには、小熊英二氏の�爐爐靴躰蕕蠅燭�っているのは、「ずさん」で「不透明」な状態そのものかもしれない。ルールが不明確で、密室で決定でき、不服申し立てを許さず、責任が問われない。この状態は、上に立つ者にとっては、面倒が少ないだろう。�瓩箸い�指摘と、保阪正康氏の�燹崟�体(政治権力)」と「国体(天皇という制度)」の分離による責任所在のあいまい化�瓩箸い�指摘に、日本人の本質が見えてくるように思われてならないのだ。それは�狎�治責任の所在のあいまい化�瓩砲△襪茲Δ忙廚┐討覆蕕覆い里任△襦�
昨日の朝日新聞朝刊に掲載された小熊英二氏の「(論壇時評)外国人との共存 ずさんで不透明な壁が阻む」からそんなことを考えた。外国人労働者の受け入れは、いくら日本政府が外国人労働者の受け入れを国際的に発信しても、外国人労働者にとって日本が�猝ノ賄�な国�瓩世隼廚錣譴覆じ造蝓�外国人労働者の受け入れなど、�牾┐防舛い震澂瓩暴�わってしまう可能性がある。実際、日本は外国人労働者にとって�猝ノ賄�な国�瓩世箸六廚錣譴覆�なっているとも聞く。日本人の本質である�狎嫻い僚蟶澆里△い泙げ臭瓩鬚い�に乗り越えていくのかということが、今もっとも私たち日本人が考えねばならないことではないだろうか。
ログインしてコメントを確認・投稿する