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2018年07月28日11:13

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米国のシェール革命に日本は期待

エネルギー覇権、米の野望 通商交渉の切り札に
2018/7/28 2:00日本経済新聞 電子版

 トランプ米政権がエネルギー輸出を中国などへの貿易赤字解消の切り札にしようとしている。「シェール革命」で米国内で生産できる資源が増え、2020年の液化天然ガス(LNG)の輸出能力は17年の輸出実績の5倍の年間7千万トン級になる見通し。原油でも世界3位の輸出国になる勢いで、ロシアや中東との覇権争いが激しくなれば世界のエネルギー地政学を変える可能性がある。

「米エネルギーの黄金時代がまもなく来る。それは米国の黄金時代でもある」。トランプ米大統領が17年6月、演説でこう宣言してから1年あまり、実行段階に移りつつある。米国は17年に天然ガスの純輸出国に転換。シェールガスや原油の輸出による覇権への野望を隠さない。

 米エネルギー情報局(EIA)によると、米国のLNG輸出量は17年、前年比4倍の1500万トンとなった。19年には3600万トン級を輸出する見通し。これは世界最大のLNG輸入国である日本の年間輸入量(8350万トン)の約4割、世界需要の約12%に相当する。建設中のLNGプラントがすべて完成すれば生産能力は約7千万トンとなりマレーシアを追い抜き、カタールとオーストラリアに続く世界3位のLNG大国となる。

 原油輸出でも世界3位を射程に入れた。17年に日量110万バレルで前年比89%増えた。18年6月には一時同300万バレルに達し、サウジアラビア(同700万バレル)やロシア(同500万バレル)、イラク(同400万バレル弱)などに続く水準に。生産量は22年に17年比2割増の同1110万バレルになる見通し。同1千万バレル規模を生産するのはサウジとロシアだけだ。

 エネルギー情報会社IHSマークイットによると、シェール開発が盛んなパーミアン地区では生産量が23年に2倍となり、米国の原油輸出を同年に同400万バレルまで押し上げると予測する。実現すれば世界3位のイラクを抜く。

 石油危機を受け1973年に「エネルギーの自立」をめざす方針を打ち出した米国は、本土からのエネルギー輸出を控えてきたが、シェール革命を受け政策を転換。トランプ政権はエネルギーを安全保障や通商交渉を動かす切り札にする。

 中国との貿易戦争では、エネルギー輸出で対中貿易赤字を削減できるとの思惑もある。中国は世界2位のLNG輸入国。30年の輸入量は2倍強の年8200万トンに達するもようだ。

 米エネルギー調査会社BNEFは「年8200万トンをすべて米国から調達すると277億ドル分の貿易赤字の削減につながる」と試算する。17年の対中貿易赤字は3750億ドルで、約7%分に相当する。原油も含めれば「400億〜500億ドルを簡単に削減できる」(ムニューシン米財務長官)との見方もある。

 貿易戦争でエネルギー業界が注目するのは、中国側の報復リストに原油と石油製品は含まれたが、LNGはなかった点だ。中国のLNG需要の伸びが急速なため、生産能力が増える米国産LNGに頼らざるを得ないという見方がある。

 ただエネルギーを輸入せざるを得ない中国にとって、過度に米国に頼る状況になれば自らの安全保障が揺らぎかねない。調査会社ライスタッド・エナジーのカルロス・ディアス氏は「貿易戦争が続けば、LNGが報復リストに入る可能性もあり中国企業は米国のLNGの長期契約をしないだろう。カタールなど米国以外の輸出国には好機だ」と話す。

 日本の政府関係者は年7兆円規模の対日貿易赤字を糾弾するトランプ氏の怒りを鎮める効果を期待する。日本の電力・ガス会社の米国からのLNG輸入量は17年度の年90万トンから20年代に最大年1600万トンに達する。仮にこの全量を輸入すれば、単純計算で年約7800億円、赤字額の1割を減らせる。

 米国の資源外交は欧州にも及ぶ。トランプ氏は25日の欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長との首脳会談で、関税の撤廃や引き下げに向けて交渉を始める一方で、米国産LNGの輸入増を合意内容に盛り込んだ。

 米国で大量に生産できるシェールの存在感が増すと原油やLNGの価格にも影響を与えそうだ。米国にとってガソリン安につながる原油価格の低下は望ましい一方で、中東やロシアなど産油国には痛手となる。

 中東の原油に頼っていた米国が輸出大国になれば、同国にとって中東の重要性が低下する見込みで世界の安全保障のバランスも変わる。地球温暖化の一因とされる石油資源は、投資を回収できない「座礁資産」となるリスクが金融市場で意識される。二酸化炭素(CO2)排出量が少ないLNGの需要が増えれば米国には追い風だ。

 世界のエネルギードミナンス(支配)をめざすトランプ氏。11月に中間選挙を控え、20年代にも到来する「エネルギー黄金時代」の絵姿は米国民に政権の成果を訴える格好の材料だ。だが露骨な自国主義の主張に警戒感を強める国もある。トランプ氏の動向はエネルギーだけでなく安全保障をも揺さぶり始めている。

(花房良祐、ニューヨーク=中山修志)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33503990X20C18A7MM8000/
ガスだけでなく原油も輸入出来るようになれば更に対米貿易赤字が減少します。
シーレーンを支那に切断される危険を考慮すれば太平洋を横断する方が安全です。
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