ガチャ
扉の開く音がした。
今日も、東京と言う大都会の迷い子が来たようだ。
「すみません。こちらは、毛利探偵事務所でしょうか?」
男は辺りを見回しながら恐る恐る申し出た。
毛利「オッホン。いかにも、私が名探偵の毛利小五郎です。ご依頼ですかな?」
毛利がうながすと、男は席につき、話し始めた。
マスオ「私は、フグ田マスオと言います。妻の、サザエの死の真相をあなたに探ってもらえないかとお伺いしました」
毛利「奥さんの、、、どういうことでしょうか。詳しくお聞かせください」
マスオ「先月の話です。妻が自動車事故で亡くなりました」
「妻の実家は裕福でした。世田谷区の一等地に広い庭付きの一軒家を持つほどに」
「妻の両親、、、波平とフネと言うんですが、一年前にその両親が亡くなり、長女である妻に、多額の遺産が入りました」
「弟であるカツオ君にも、遺産は入ったのですが、『カツオに金を渡してもろくなことにならん!』という父・波平の遺言によりカツオ君には少額しか入りませんでした」
「妻が亡くなれば、遺産はカツオ君の元に行きます」
毛利「つまり、自動車事故はカツオ君によって仕組まれたものではないかと」
マスオ「そうです。よろしくお願いします」
毛利「わかりました。では、奥様が亡くなった日のことを教えていただけますか」
マスオ「あの日の夕方、妻にカツオ君から電話がありました」
「話があるから今から家に来てくれないか。と、その道中で事故に」
「事故現場の監視カメラの映像を警察からもらってあります。これです」
マスオはタブレットを取り出すと映像を再生した。
そこには一台の車が映っていた。
他に車はない、これがサザエの運転する車だろう。
まっすぐ走った先の、カーブ手前で車が急加速し、崖から落ちて行く後ろからの映像だった。
毛利「これだけを見ると事故のように見えますな」
「奥さんが車の運転が苦手だったということはありませんか?」
マスオ「普段、妻が車を使うのは家とスーパーの往復だけなので慣れない道は苦手だったかも知れません。しかし常に安全運転でした」
毛利「そうですか、では何か他に、カツオ君が怪しいというところはありますか?」
マスオ「実はサザエが亡くなる一週間前に、車が故障したからとカツオ君が車を借りに来たんです」
「そして妻は車を貸しました。その日の夜には返してもらいましたが」
毛利「そのとき、何か変わったことはありませんでしたか?」
マスオ「車内に置いてあった妻のサングラスをカツオ君が無くしてしまって、妻に怒鳴られていましたね」
毛利「その後、車はどうされましたか」
マスオ「スーパーには毎日行くので普段通り使っていました」
毛利「ふーむ。(車に何か仕掛けをしたとしても、亡くなったのは一週間後、そんなことができるのだろうか)」
「事故車両は今どちらに?」
マスオ「自宅に当時のまま保管してあります」
毛利「拝見してもよろしいですか」
後日、マスオ宅にて車の検分が行われた。
中編につづく
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