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2017年11月21日10:29

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厚労省が無能すぎて介護施設は地獄絵図

食堂に3時間放置、朝3時に着替えの介護現場
「対策は職員のストレスケア」という厚労省のピンぼけっぷり
2017年11月21日(火)

なぜ、こんなにも“温度”が下がってしまったのか。
 慣れっこになった? 仕方がないとあきらめた?
 あるいは「自分には関係ない」と思っているのか。

 数年前には連日連夜大々的に取り上げられた“介護施設での事件”が、今回はテレビではあっさりと、紙面では三面で小さく報じられている。

 はい、そうです。今年の8月に東京都中野区の有料老人ホームで、入所者の男性(83歳)を殺害したとして元職員の男(25歳)が逮捕された事件です。

 「介護に対する自信がなくなった」として9月に依願退職していた元職員の男は、8月22日の早朝、ホーム内の浴室で入所者の男性を浴槽に投げ入れてお湯を張り、沈めて殺害。男性の死因は溺死で、首を絞められた形跡もあった。

 「布団を何回も汚され、いい加減にしろと思ってやった。ベッドで一度首を絞めた。その後、浴室も汚したので風呂に沈めた」――。

 男はこう容疑を認め、「大変なことをしてしまった」と泣きながら当時の状況を自供。昨年6月から現場のホームに勤務していたが日常的な暴行や他の入所者の被害は確認されていない。また、殺害された男性は校長などを勤めた方で、難病で介護が必要だったが支えがあれば歩くことができた。

 ホームを運営するニチイケアパレスは

 「遅刻や欠勤はほとんどなく、まじめに勤務していた。メンタルヘルスのチェックもしていたが、ひっかかることは一切なかった。当時の勤務体制は国の基準を満たしている」

 と説明。

 また、厚労省は介護施設の職員による高齢者への虐待が年々増加していることから(※)、自治体に再発防止策をとるように通知。施設長を対象に研修を実施し、「職員のストレス対策」として対人関係スキルの向上や感情コントロールスキルの習得などの教育を求めている。

※厚労省の調査で介護施設での虐待は06年の54件から9年連続増加し、15年度は408件、被害者は778人だった。

これで「基準を満たしている」なら、基準が間違ってるのでは

 さて、……なんと言ったらいいのだろう。気の利いたコメントが思いつかない。
 ただ、介護施設での事件を「個人の問題」にしていては悲惨な事件があとを絶たないことは明白である。

 つまり、「国の基準を満たしている」とか、「職員のストレス対策を厚労省は指示している」とか、「体制に問題はありません!」とするのではなく「介護現場の問題」として改善策を講じる必要があることが、もはや確実になった、ってこと。

 これまでも介護現場の問題点を指摘してきたが、改めて「終の住処の“今”」のデータや証言をもとに、私たちの未来を考えてみようと思う。

 まず最初に、今回の事件でホームの運営側が「国の基準を満たしている」としている点だが、特別養護老人ホームや有料老人ホームでは、職員1人が入所者3人を受け持つという決まりがある。

 だが、実際にはこの基準で高齢者の「日常ケア」を行なうのは厳しく、夜勤の1人勤務や連続16時間勤務、月10回以上の夜勤が横行している。

 一方、数年前に介護施設の虐待が社会問題化したため「1対2.5」「1対1.5」といった具合に国の基準を上回る割合で職員を置く施設も増えた。

 厚労省が行った調査では、特養ホームの人員配置は全国の平均で「1対2」。基準の見直しを求める声はすでにあがっている。しかし、最低基準が厳しくなれば運営できない施設が急増する怖れもある。

 言わずもがな、介護施設は慢性的な人手不足だ。
 介護保険制度が施行された2000年の介護職員は55万人。その後徐々に増加し、2013年には171万人と約3倍になったが、高齢化のピッチが速すぎて職員の数を増やしても増やしても追いつかない現実がある。

介護施設は人手不足と競争激化で倒産が増加

 実際、62.6%の事業所が「人手が不足している」と回答し、職員側の悩みも「人手が足りない」(53.2%)がトップだ。職員への「今の仕事を続けたいか?」との問いに「はい」と答えた人は53.7%で、前年に比べ11.8ポイント下がった。年間の離職率は前年より悪化し16.7%で、全産業平均の15%を上回っている。

 懸念されている賃金だが、16年9月時点の平均賃金(月給)は22万4848円で、前年の21万7753円から7095円増えた。しかしながら全産業と比較すると月給で約10万円、年収では100万円超低く、低賃金も解消されていない(これらの数字は全て厚生労働省所管の公益財団法人「介護労働安定センター」調べ)。

 重労働、急激な高齢化、さらには低賃金による離職率の高さから生じる慢性的な人手不足は、経営も圧迫している。

 老人ホームなどの介護事業者の倒産件数はここ5年間で急増し、昨年は過去最多の108件。今年も8月時点ですでに62件が報告されており、昨年を上回る可能性が高い。

 負債額を比較すると、昨年は108件の倒産で94億600万円だったのに対し、今年は62件で121億7,000万円の倒産ペース。つまり、大型の施設の倒産が相次いでいるのだ(東京商工リサーチ調べ)。

 もともと介護施設の経費は、7割を人件費が占めている。
 2015年の介護報酬引き下げ(2.27%減)は業界には大きな打撃だったが、追い打ちをかけたのが国の「介護の受皿を増やす」政策。競争相手が増え、人員確保がさらに難しくなり、体力を増々低下させた。

 需要は増す一方なのに、報酬の減少、コスト増、競争激化による倒産という、魔のスパイラルが出来上がってしまったのだ。

 それだけではない。

 倒産に伴い入所者は他の施設に転院するわけだが、高齢者にとって環境の変化は想像以上のストレスになる。元気に施設で暮らしていた高齢者が、転院後は突然口数が少なくなったり、うつ傾向が強まったり、歩けなくなったり……、つまり、施設の経営悪化が引き金で一気に老け込んでしまうのである。

 ふ〜む……。ここまでで既に青息吐息というほかないのだが、数年後にはざっくり今の100倍は深刻な、暗澹たる未来が待ち受けている。

 38万人――。

 これは8年後の2025年に不足する介護職員の人数である。
 団塊の世代が75歳以上になる2025年度には、介護職員が約253万人必要になるとされるのに対し供給の見込みは約215万人。およそ38万人の介護職員が足りなくなる。

 これがいかに深刻な問題なのかは、いまの現場のリアルを知ればお分かりいただけるはずだ。
 先日、91歳の誕生日を迎えた“友人”が見た「今の老人ホーム」の有り様を紹介しよう。

朝3時に起こさないと「朝食に間に合わない」

 友人は90歳のときに「老人ホーム連続転落死に見る『介護崩壊』の予兆」で、介護現場の職員の方たちの苦労を話してくれた女性と同一人物である。そちらも是非お読みいただきたいのだが、そこでも書いたとおり、ご主人が要介護となりご夫婦でホームに入所。終の住処で3年の時が過ぎた。

 「夫のような車いすの入所者は毎朝、6時過ぎになると食堂に連れて行かれます。70人近い入所者の配膳、投薬などをわずか3〜4人のヘルパーが行うのですが、ヘルパーの中の2人は夜勤を終えたまま引き続き働いているので、気の毒で見ていられません。

 人手が足りなすぎて物事が進まず、結局、車いすで部屋へ連れ戻されるのは9時過ぎ。つまり窮屈な車いすに3時間近くも座らせられているのです。

 週2回の入浴日はもっと大変です。朝食後、入浴時間まで食堂で車いすのままずっと待っていなくてはならない。終わるとまた食堂に連れて来られて、そのまま昼食になるので、部屋に戻ってくる時には6時間も経っているのです。入所者は増えてもヘルパーの数は変わらないので、そのしわ寄せが夫のような、車椅子で介護度4か5の人たちにもろにきています。そういう入所者のほとんどは、自らの意志表現ができない状態なので、じっと我慢しています。

 午前3時少し過ぎに隣室の夫の部屋から物音がするので、すぐ様子を見に行ったところ、ヘルパーが夫の着替えをしているところでした。3時頃はぐっすり眠っている時間なのに、無理やり起こされて おむつ替えなどさせられている夫が哀れでならなかったです。ヘルパーに文句を言ったところ、『今から始めないと朝食に間に合わない』という返事が返ってきました」

 「ホームを運営する本社に『改善してほしい』という要望は出しているのですが、答えは『低賃金のためヘルパーを募集しても応募がない』の一点張りです。

 前途が真っ暗になるような回答しか返ってきません。結局、ヘルパーの数が増えない限りどうにもならない、ということを再認識させられ、途方に暮れるのです。

 このホームに入所して3年近くの間、人生の末期の棲み家を求めて老人ホームに入所した高齢者を観察してきましたが、痛切に感じるのは会話の大切さです。ホームの生活は自室で話し相手もなく過ごすため、会話が非常に少ないのです。

 入所当時は杖なしでさっさと歩き、私の問いかけに即答していた人が、毎食時とレクリエーションの時間以外は、ほとんど自室で過ごすため、みるみるうちに反応が悪くなっていきます。幸い夫は私が一緒に入所したため、比較的会話の機会があるので、今でも私の問いかけには声こそ小さくなりましたが、いつも即答しています。

 昨年6月、某有名銀行支店長の奥様が入所しました。食事の席が同じだったので、私は早速、彼女に話しかけました。彼女はホームに入所した経緯や、2人の子供の話、12年前に他界されたご主人のこととか、家庭の情報をよどみなく話してくれました。

みるみるうちに何も出来なくなっていく

 入所後は自室では何をすることもなく一日中会話もなく、ぼんやりと過ごしているようでした。近くに住む娘さんも滅多に姿を現しません。そして、彼女が入所してから半年が経過する頃、私は彼女の脳細胞が破壊されていることを感じるようになりました。私の問いかけにとんちんかんな返事をしたり、髪は乱れたまま、服のボタンは掛け違ったままで食堂に来るようになったのです。それと並行して歩行が困難になり、杖、そして車いすを使うようになっていきました。

 彼女は今では私の顔も認識できないのです。わずか1年で変わり果てた姿に驚いています。こんな例は彼女だけではなく、他にも同じような人が数多くいます」

 たったひとりの親のケアだって大変なのに、3名で70人近い人たちに、ご飯を食べさせ、お風呂に入れ、部屋まで付き添うだなんて想像しただけで恐ろしくなる。その間、トイレをもよおす人だっているし、具合が悪くなる人だっているかもしれない。ちょっとした行き違いで、怒鳴ったり、わがままを言ったり、ぶつかり合うことだってあるだろう。

 尋常でない激務と人手不足が、職員の人たちだけでなく高齢者をも極限状態に追い詰めている状況は、“友人”の話から痛いほどわかる。

 本当は職員の人たちだって、おじいちゃんやおばあちゃんがちょっとでも笑顔になるようなサービスをしたいし、ふとした会話で元気になる様子をみたい。

 「おしゃべりな人は認知症になりにくい」とは介護業界ではよく聞かれる話だし、「会話は生存率にも影響する」との指摘もある。が、“今の現場”では次から次へとやらなくてはならないことだらけで、会話の時間が奪われ、言葉のやりとりのない世界で、おじいちゃん、おばあちゃんたちの生きる力が奪われているのだ。

 人生最後の時間がこんな悲惨な状況でいいのか?
 これで納得できるのか?
 もっとできることがあるのではないのか?

 半年ほど前出演しているテレビ番組で、介護現場にIoTを導入し人手不足に役立てている施設を特集したことがある(介護付ホーム アズハイム町田 以下、数字は当時のものです)。

 ここでは55人の入居者を50人のスタッフで介護。つまり、1対3ではなく、1対1.5以下だ。
 だがこの人数でもケアスタッフはてんやわんやで、「レクリエーション」で高齢者の精神的ケアを行なうとともに、「食事の補助」「排泄介助」などの身体的ケア、さらには入所している部屋を巡回し、シーツ交換や掃除、歯磨きコップの衛生状態をチェックしたり、消毒するなどの雑務をこなすなど、常に「やること」に追われていた。

 その切迫した状況を変えたのが「1台のスマホ」だった。
 スタッフが常にスマホを携帯し、それを活用することで、施設全体の1日当たりの総労働時間を17時間削減することに成功したのである。

 スマホの画面には瞬時に、ベッド上に入所者がいるか、寝ているか起きているかが映し出される。これだけでケアスタッフの作業効率が格段に上がったのだ。

 仕組みは実にシンプル。入居者のベッドのマットレス下に「眠りスキャン」とよばれるセンサーがついたシートを敷くことで、睡眠時間・呼吸状態などを24時間モニタリング。離床のタイミングでナースコールを鳴らす機能もあるので、入居者に合わせた設定が可能だ(※日経デジタルヘルスの記事はこちら)。

「スマホを見ながら優先順位を付けて離床の準備ができるようになった。それまでは部屋をノックして、起きているかどうかを確認する必要があったが、入居者の方の眠りを邪魔せず、こちらもケアできるようになった」(職員談)
「夜間に入居者の排泄介助を行っていても、他の部屋から物音が聞こえると、排泄介助を中断し状況を確かめる必要があったが、スマホを確認すればいいので目の前の入居者に集中できるようになった」(同じく職員談)
 IoTで、介護をする人の負担が減り、データに基づきケアすることで介護の質が上がり、入所者も快適になる。施設の担当者によれば「システム導入には入所者55人に対し2000万円かかるが、2年間で回収できる」そうだ。

個人で解決できるわけがない

 厚労省は「職員のストレス対策を指示する」くらいなら、「世界最先端IT国家創造宣言(IT宣言)」の膨大な予算のうちの一部を介護現場に使えばいい。

 なぜ、それをしない? なぜ、議論にもあがらない?
 所詮、介護現場の事件は「個人の問題」と考えているからなのか?

 生きていれば誰もが老いる。昨日まで出来ていたことがひとつひとつできなくなる。
 そんなときにはどうしたって他者からのケアが必要となる。

 
 どういう老後を迎えるのが望ましいのか、自活できなくなったときの尊厳を守るにはどのような条件が必要なのか。
 それを正面から議論しない限り、悲しい事件はなくならないと思う。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/112000132/
>厚労省は「職員のストレス対策を指示する」くらいなら、「世界最先端IT国家創造宣言(IT宣言)」の膨大な予算のうちの一部を介護現場に使えばいい。

IT宣言の中心になってるのが総務省と経済産業省です。
残念ながら厚労省は「特定健診・保健指導に関する事務」とか「予防接種に関する事務における接種履歴の連携」程度の事しか出来てません^^;

厚労省は主に労働者向けの政策を作ってきました。
少子高齢化社会に対応した政策に関しては前例がないので官僚には政策作成は無理です。
安倍内閣は経済立て直しと安全保障を優先させてきましたが、今後は福祉や教育に重心を移して欲しいです。
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