家族の死に直面した時の対応が人それぞれなように、この映画に対する感想も没入具合も人それぞれでしょう。しかし西川監督作品ですから、心の臓を爪楊枝でチクチクつつかれるような感覚は、みな味わったと思います。
落ち目の作家・衣笠は、不倫の真っ最中に妻をバス事故で亡くした。しかし、だからといって悲しみも罪悪感も抱けない。それほど仲が冷え切っていたわけだが、ふとしたキッカケでバス事故遺族の大宮一家と知り合ったことで、初めて家族を失ったことの痛みを知る…
という「永い言い訳」。
以下はネタバレです。



自己愛が強く傲慢な主人公。妻の死にケジメをつける=死に向き合ってちゃんと泣く、ということから逃げるために新たな「家族」を手に入れるんだけど、その「家族」からもまた疎外感を味わうことになり、また逃げてしまう。けども、その家族の死の危機にまたもや直面した時に、自分が愛した人、自分を愛してくれた人たちとの関係に〈折り合い〉をつける…とまあ、構成はいたってシンプル。目に見えた衣笠の成長はなくて、あくまで〈折り合い〉を落とし所にしたのがリアルだったかな。むしろ、衣笠の影響を受け、大宮が自分の〈遺族スタンス〉を変えていく方が成長ドラマっぽい。
この映画に描かれる妻の死って、比較するのも変だけど、失恋に似ているんじゃなかろうか。その痛手とか虚しさとか罪の意識から逃げるために、人は次の恋愛に行くわけだけど、そこでまた失恋したらツライよね。だから、恋ではなく友情という落とし所を見つけていく…みたいなね。
いい映画だし、モッくんのクズっぷりが自分と被って居心地悪かったりと、映画的快感は得られたんだけど、どうしても大宮ってキャラのデフォルメ具合が気になりました。今にも拳が飛んできそうな顔してて、実は怒ってなかったり、二酸化炭素も知らない無知ぶりなど、ちょっとリアルじゃなかったなぁと。それだけ。
ログインしてコメントを確認・投稿する