国民経済の三要素は「資本(モノ)」「労働(ヒト)」「技術」の三つである。
実は、上記はあくまで国民経済の「供給能力」を織りなす三要素であり、国民経済全体の要素ではないのです。
国民経済全体を考えたとき、更に二つ「要素」が加わります。
すなわち「需要」と「資源」の二つです。
当たり前ですが、資本、労働、技術の三つが完備していたとしても、需要(市場でもいいです)がなければ、所得は創出されません。
すなわち、GDPが成立しません。
あるいは、需要、資本、労働、技術の全てが揃っていたとしても、化石燃料や鉱物資源がなければ、
所得創出のプロセスは動きません。
国民経済の五要素は「資本」「労働」「技術」「需要」「資源」の五つになります。
このいずれかが「ゼロ」になってしまった場合、全体もゼロになります。
すなわち、GDPゼロ円です。
さらに言えば、五要素の一つでも外国に過度に依存してしまうと、経済どころか「防衛安全保障」までもが危険にさらされることになります。
スイス政府が発行した「民間防衛―あらゆる危険から身をまもる」(原書房)に、以下の一節があります。
『経済も武器である全体戦争の今の時代においては、経済は、政治と戦争の基本的武器である。
スイスが経済活動の面で外国に依存する状態にあることは、この点からいって重大な危険である。
われわれの攻撃者となるかもしれない国に、われわれが必要とするものの供給を独占させることは、どうしても避けなければならない』
現実には、特製の製品や資源の「供給」を外国に全面依存することはもちろんですが、資本、技術、労働、そして「需要」についても、国家は他国に過度に依存してはならないのです。
同じくスイス民間防衛の一節から引用しますが、『腹のへった者は、パンを約束する者の言うことを聞くのだから』なのでございます。
さて、改めて中国の「爆買い」を標的市場に投資するとは、何を意味するのでしょうか。
もちろん国内サービスの「需要」を、中国に過度に依存するということです。
これが、先進的な民主主義国であれば、話は別です。
とはいえ、中国は「共産独裁国家」であり、共産党の意向で経済の構造はガラリと変わります。
実際、爆買いを嫌った中国共産党が、外国で購入された製品に対する関税を引き上げ、逆に輸入製品の関税を引き下げたため、爆買いは終焉に向かっています。
爆買い目当てで投資をしてしまった銀座の百貨店は、現在、閑古鳥が鳴いている有様です。
あるいは、台湾。
蔡英文政権が成立し、中国共産党は「嫌がらせ」で台湾への観光ビザの制限を始めました。
結果、台湾の観光業が苦境に立たされています。
需要あるいは「市場」を外国に、しかも共産党独裁国家に過度に依存するとは、そういう話なのです。
ならば、どうすればいいのか。そもそも、何が問題なのか。
一国に依存するというのは安全保障を考える上で危険であるということ。
そして、相手が独裁国家であればさらに厄介であるという考えは私にとって非常に新鮮でした。
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