■ノーベル経済学賞にディートン氏=消費・貧困・福祉の分析で
(時事通信社 - 10月12日 21:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3659903
いや〜、ビックリね。下馬評にも上がってなかったディートン先生。しかも単独受賞。他の事で書こうと思ってたけど、アタシの研究分野、消費と貯蓄の第一人者なので、書かねばならぬわ。
ってのもさ、アタシの行ったUCSDではPhDのコアのコース、マクロの一年目第二学期目は消費と投資だけを勉強するのよね。で、消費の部門では一般的なテキスト、Blanchard and Fisherに加えて、Deatonの Understanding Consumptionって本が課されて。 当時はまだ研究分野も決まってなくって、その本も読んだりしてもよくわからなくって。
で、その後、一年目と二年目の間の夏休み、勉強するので学校の図書館に向ってる最中。大学の芝生を歩いていてふと思ったの。「アタシはADBで働いていたときの退職金を使って、サンディエゴにコンドを買ってそこに今住んでるけど、アタシが今死んだら、これは経済学では『遺産』と考えられるの?とんでもないわ。アタシには遺産動機なんてないし、貯金するのはライフサイクル貯蓄と予備的動機のみよ!」って考えたのよ。で、いろいろ考え出した消費と貯蓄の問題。 それから、貯蓄・遺産動機・Aging等々考え出して、その分野で勉強していくことにして。2年目の計量経済のリプリケーションプロジェクトではPrecautionary Savingのペーパーの再現、3年目のリタラチャーレビューでもPrecautionary Saving。で、それをしている時に、「予備的動機が大事だ、とかいうけど、なんで家計のポートフォリオの中で家の資産に占める割合がこんなに高いのよ?アメリカの平均で総資産の3分の2は家よ?家ってリスキーじゃね?どこがPrecautionよ?」って考え出して、3年目のオリジナルペーパープロジェクトでは家のことでペーパーを書いて。そのペーパーを消費の先生に見せたら、「これはPromising Research Programだわ。一緒にやらない?」となって、アタシはUCSDの学生の中でも、「消費の専門家」ということになっったの。だって、当時のUCSD、計量経済学で有名なので、みんな有名な先生を指導教官に選ぶ=計量経済、残りは環境とか数理経済とかゲーム理論。消費の先生は昔有名な論文があったけど、最近はアクティブじゃないので、いわゆるDeadwood扱い。 だから、消費と貯蓄なんてやってる学生いなかったのよね。なので、その分野のリタラチャーなら何でもレイコに聞け、ってことになって。
で、その後何回か読み返したUnderstanding Consumption。広く網羅、かつ深く考察、いい本だわ。こりゃ、日本語に翻訳しようかしら?と思い、2年下にいた、今一橋にいる植杉威一郎さんに、「どうかしら?」って聞いたら、「いや〜、この本、難しいし、これを読むレベルの人間なら、英語で読めるから、翻訳なんて読まないでしょ。需要ないと思う」と言われて。それもそうね、ってことでアキラメ。
でも、数日前に、夢に出てきたの。「Deatonの Understanding Consumption、日本語に翻訳しても需要がないよね?」って話をだれかとしてて。1000コピーも売れりゃいいとこ、とか結論になって。今朝起きた時なんて、1000もうれるわけないわ。100でも売れりゃいいんじゃ?こりゃだめだわ、って思い直して。で、ニュースを見たら、Deaton受賞
アタシの個人的なDeatonに関する思い出と言えば・・・・(個人的に会って話したことあるノーベル経済学賞受賞者は4人目か?)
UCSD5年目1998年、Job Marketに出たけど上手く行かず、アカポスの仕事が取れず、結局は会計事務所での移転価格の仕事しかなく。なんか、経済学PhDの最悪の仕事、って感じで。 3月になって、PrincetonでDeatonの元で貧困のリサーチをするというポスドクの募集があって。迷ったのよね〜。お金はマッカーサー基金から出てて。共著者・指導教官にも相談して、「私はディートンよく知ってるから、強い推薦状が書けると思う」という話も。でも、マッカーサー基金のフォーカスがアメリカの貧困だったので、「うーん、これがインドの貧困とかだったら、興味もあるし、開発機関で働いてたので、すっと入っていけるところもあるけど、アメリカの貧困?ちょっと訳わかめだし〜。それにこのポスドク、一年だけ、来年またJob Marketに出るの?ってのも・・・」ってことで、申し込むのを辞めたのよね。
でも会計事務所の仕事が余りにも面白くなかったので、結局もう一度ジョブマーケットに出て、ラスベガスの大学で職を得て。で、それからリサーチプログラムの消費と貯蓄、Agingのことで、Rand CorporationでヤッテルRand Summer Institute on Agingに2002年?2003年?だかに出て。そこに講師として来ているDeaton先生。サンタモニカでのグループディナーの後、ディートン先生に取り入ろうとお話をしてみたんだけど、「君はどこの大学で働いてるの?あ、ラスベガスの・・・」で急激に興味をなくされ、話してもくれなかったわ・・・

経済学会の階級制度というか、アタシの低カースト度をマザマザと思い知らされた瞬間。ま、初めてじゃないし、それが最後でもないけどね。
なので、アタシの中でのDeaton、学者としては尊敬するけど、「ケッ、威張りくさって」って思うところもあるの。
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