彼女の口は裂けていた。
だから彼女はマスクをしていた。
男たちは彼女の素顔を想像したとき
きっと美しいに違いないと目を細めた。
しかしマスクを決して取らない姿を
不気味に感じてもいた。
彼女に転機が訪れた。
伊達マスクが流行りだしたのだ。
マスクをしていることに不気味さを
感じる者は減った。
彼女ははじめ喜んだが、
すぐにやりきれない思いに駆られた。
別に隠さなくていいものを隠している余裕が腹立たしかった。
「墓場まで持っていく」その覚悟で
彼女は今日もマスク越しに笑みを見せた。
今日、岐阜は37℃の猛暑だった。
先週金曜日はその岐阜にて弾き語りでした。
聞いてくださった皆さんありがとうございました。
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