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2015年07月06日13:13

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DVD終焉の序曲:第87回『テナント/恐怖を借りた男』

パリ。小心で大人しい小男トレルコフスキーは、部屋に空きが出来た聞いて、とある古アパートにやってきた。3階の二間続きの良い部屋だが、2階に住むオーナーは気難しく、管理人も愛想がない。オーナーに「君は正直者そうだから礼金5000フランで貸してやる」と言われ、トレルコフスキーは引っ越しを決意するが、問題が一つある。実は前の入居者が荷物も衣服も置きっぱなしなのだ。それもそのはず、前の入居者シモーヌ・シェールは、3階の自室から飛び降り自殺を図り、重傷を負って入院中なのだ。回復したら戻って来るんじゃないのと危惧するトレルコフスキーだが、管理人や入居者たちは「いや、あのコは死ぬだろう」と冷たい態度。トレルコフスキーは気になってシモーヌの入院先に見舞いに行ってみるが、包帯でぐるぐる巻きのシモーヌは錯乱状態にあり、友人のステラの顔も判らない様子だった。トレルコフスキーはステラと親しくなるが、自分がシモーヌの後釜としてあの部屋を借りた事は言い出せない。

翌日、シモーヌが死んだとの知らせが入り、トレルコフスキーは引っ越しを敢行。だが、その直後からオーナーや入居者たちの異常さに気がつき始める。とにかくここの住人たちは、規律規律とうるさく、物音にやたら神経質なのだ。トレルコフスキーが友人たちを招いて引っ越しパーティーをやったときなど、オーナーから退去命令が下されそうになったほどである。とにかく静かに暮らそうと決めたトレルコフスキーは、デートを重ねるステラも部屋に呼ぶ事が出来ずイライラし始める。やがて彼は、最近自分の習慣が変わったことに気付き始める。朝はカフェでコーヒーを飲むのが日課だったが、いつしかホットチョコレートを飲むようになり、タバコもゴロワーズからマルボロに変わっている。これは実は、死んだシモーヌの習慣だった。さらにあるとき、トレルコフスキーは無意識に爪にマニキュアを塗っていた。気がつけば、しょっちゅうクローゼットにシモーヌのドレスがかかっている。今日はついに、ブロンドのカツラまで買っていた。俺は、どんどんシモーヌ化していってるじゃないか・・・しかし何故?アパートの入居者たちが結託して、俺をシモーヌにしたいのか?つまり自殺させたいのか?部屋から追い出すために??? 強迫観念とストレスから、彼の精神は崩壊し、そしてとうとう、トレルコフスキーは女装したまま3階から身を投げてしまうのだった。



***


「テナント 恐怖を借りた男」。アパートが舞台のホラーといえば、同じポランスキーの「ローズマリーの赤ちゃん」がありますが、こちらは若干違います。ローズマリーは、自分のカラダの変化が<ご近所さんの過剰干渉によるストレス>と思っていて実は違った・・・という展開ですが、こちらは<ご近所トラブルと些細な偶然が神経衰弱を引き起こす>というおハナシ。つまり、悪も善も悪魔も神もなく、単に主人公の空想力が行き過ぎて破滅するって話なんですね。見方によってはコメディです、これ。ご近所問題ってのは今日的テーマなので、地味ながら全く退屈しないし古さを感じさせません。冒頭のアパート全景ショット(セットが素晴らしい!)など視覚的にも見どころ多く、オススメです。ちなみに「フレンチ・コネクション2」のファンは、ポパイに協力するあの刑事が、ものすごーくイヤな役で出るので少々ゲンナリかも(笑)

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