京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授(現、内閣官房参与)のレポート「デフレーション下での中央政府による公共事業の事業効果分析」では、我が国の過去のデータに基づく限り、中央政府の公共事業1兆円の増加により、名目GDPが約5兆円増加することが明らかにされています。
http://www.union-services.com/sst/sst%20data/2_57.pdf
名目GDPが拡大するのみならず、GDPデフレータや失業率、平均給与や被生活保護者数がいずれも改善し、最終的に総税収が1.6兆円、出生数が1.7万人増加するというシミュレート結果が出ているのです。
公共事業を追加的に1兆円実施することで、税収が1.6兆円増える。
なぜ、公共事業費以上に税収が増えるのかといえば、「公共事業の常数効果」「税収弾性値」という二つの要素が働くためです。(詳しくは藤井先生のレポートをご覧ください)
現在の日本は需要不足(デフレーション)であり、同時に財政が悪化しています。
公共事業を追加的に実施することで、デフレ脱却と財政改善が実現できることが、少なくともシミュレートでは証明されているのです。
ならば、実際に実施し、「効果を確認しつつ」政策を推進すればいいわけです。
ところが、現実の日本政府はといえば、公共事業を抑制し、デフレ化と財政悪化をもたらす緊縮財政路線を突き進んでいます。
デフレ対策については日本銀行に丸投げし、「量的緩和で期待インフレ率が上昇し、実質金利が下がれば、企業の投資は増えるはずだ」「量的緩和による円安で株価が上昇すれば、家計の消費は増えるはずだ」と、定量的に効果を測定することが不可能な「はずだ」政策に依存しています。
実質金利が下がれば、企業の設備投資は増加する「かも」知れません。
株価が上がれば、消費も増える「かも」知れません。
とはいえ、全く増えない「かも」知れないのです。
実質金利低下の効果や、株価の資産効果は、事前に金額を確定することは不可能であり、GDPが何%成長するのか、この世の誰にも分かりません。
無論、他に方法が何もないならば、「かも」「はずだ」政策に頼るのも仕方がないのかも知れません。
とはいえ、現実には定量的に効果測定可能な政策はあるのです。
この感覚、何なのでしょうか。
なぜ、「確実に効果が出るか、もしくは効果が測定可能な政策」ではなく、「効果が測定できない、もしくは効果がないかも知れない政策」に安倍政権は傾注してしまうのでしょうか。
定量的に効果が測れる政策に背を向け、そうではない路線を邁進していっている以上、そこには「ドグマ(教義)」あるいは「イズム(主義)」という、現実と無関係の「考え方」があるとしか解釈のしようがないのです。
現在の安倍政権を支配しているドグマは、構造改革主義であり、グローバリズムであり、財政均衡主義になります。(この三つは常に関連します)
ドグマやイズムは、別に理由などなく、「そうだから、そう」という価値観である可能性が高いです。
だからこそ、厄介なのです。
ドグマやイズムに支配され、個人が減量に失敗したところで、大した問題にはなりません。
それに対し、日本国家の経済政策の場合は、1億2700万人が影響を受けるのです。
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