在日米商工会議所の意向に従う形で、昨年の10月1日ついに日本の医療機関への株式会社参入が解禁された。残念ながら外資も参入可能な形でだ。
税の効率化、民営化といった美辞麗句で株式経営の病院がこれから増えていくだろう。
一度株式会社経営の病院ができてしまうと何が起こるか。確実に医療は悪化する。アメリカを参考に見てみよう。
まず株式経営の病院は、基本的に不採算部門はカットしてしまう。例えば、休日診療はやらない、救急病棟の廃止、その他患者数の少ない科の廃止。赤字削減を行った分、採算部門では一時的に値下げを行う。するとどうなるだろうか。
周囲の病院では、採算部門の患者はその病院に取られ、逆に救急、休日、不採算部門の受け入れが急増し、利益が上がらないまま負担が増加するのである。
結果としてその病院の経営が傾いた途端、そこも株式会社によって買収される。当然、そうして株式経営の病院が増加するに従って救急車の受け入れ先がなくなっていき盥回し事件が増加する事となる(アメリカでは実際に救急患者が盥回しになり死亡する事案が急増している)。
寡占化が進めば、一時的に下げていた料金も適正値に戻すどころかぼったくり価格にする事が可能だ。
アメリカではこのパターンで、2009年には病院の買収が52件発生しており、3年後の2012年にはその倍の105件の買収が行われている。そう、最初は蟻の一穴でもそれは徐々に加速度的な広がりを見せていく。加速は今現在も続いており、今後3年間でアメリカの病院は1000件が買収される見込みだという。
しかも、株式経営となった病院は質よりもコストカットを優先する為、アメリカの統計で株式経営化した病院はその後3年間で患者死亡率が平均で50%上がるという事が証明されている。
これらの事実がある以上、日本も20〜30年かけて、救急車の受け入れ先に困るようになっていき、医療の質も下がり、医療費も上昇する、という未来がほぼ確定となってしまった。(医療費が上昇するのみならず、将来的に国保の窓口負担を6割負担とすべしという案も政府内で既に出ている。これが万が一実現するだけでも、単純に日本人の医療費負担が倍となる)
しかも、日本の病院の場合アメリカよりも更に病院が経営難に陥りやすい事情がある。消費税の欠陥がそれである。
病院は医療に関して患者から消費税を取れない。しかし、病院が仕入れる薬品、医療機器、食料や消耗品には普通に消費税がかかっている。通常の企業であれば仕入れに対し税額控除が行われるのだが、法的に病院の場合は患者は消費者と見なさない為、法的には仕入れる消耗品類は病院が消費者と見なされる。このような理屈で、病院には仕入れ税額控除が適応されない。
という事は、消費税増税で病院が受ける影響はその他の産業の比ではないのだ。つまり、2017年に消費税が更に上がる瞬間は、投資家達にとって病院を買収するチャンスとなる。
とはいえ、TPPが暗礁に乗り上げればまだ希望はある。単純に、失敗すれば医療株式化の推進を中止すればいいのだ。。
外資参入が問題となれば外資規制を敷き、株式参入そのものから明らかな弊害が出れば株式参入さえ再規制するとか、若しくは病院としての秩序を保つ厳重なルールを課せば良い。
逆に言うと、TPPに入ってしまえばほぼ「日本は詰む」という事である。
TPPに入れば当然外資規制など許されないし、病院経営の厳格条件を規定する法案を出そうものならISDで訴えられるようになる訳だ。
既に米韓FTAでは、韓国の医療に米資本が食い込み、米資本の振る舞いに対し規制を敷こうとしたがISDを盾に断念させられるという事案が発生している。
そんな訳で、日本人の医療安全保障上、TPPは絶っっっ対に受け入れてはならないものである。そもそも、昨今のむやみやたらなグローバリズム自体愚かしい。
ともかく、TPPはなんとしても阻止せねばならないのである。
台湾の若者達は、勇気ある行動によって台湾の更なるグローバル化に歯止めをかけた。
一方日本はどうだろうか。今月のTPP反対官邸前デモには、寒い時期だからというのもあるだろうがかなり人数が少なかった。絶対数自体が少ない上に若者もほとんど居ない。
正直非常にマズい、日本は詰みかけている。
TPP加盟で健康保険制度が崩壊する危険性を孫崎亨氏が指摘
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=125&from=diary&id=3270128
ログインしてコメントを確認・投稿する