衆議院選挙を明日に迫っているが、そんなことよりも一番気になる事は、これからの日本経済への希望が欲しい事だ!
「吉野家の牛丼値上げ」について、GDP統計と絡めて考えて見た。
勘違いしている人が少なくないと思いますが、GDPに統計される「付加価値」とは、売上のことではありません。
売上には、「売上原価」という「他の会社の付加価値」が含まれてしまっているのです。
各企業が生産した「付加価値」とは、ほぼ「粗利益」に該当します。
そして、生産面のGDPとは「国内で生産された付加価値の合計」になるのです。
吉野家が並盛を80円値上げし、380円にすると発表しました。
理由は、アメリカの天候不順などの影響で、米国産冷凍牛肉の相場が、昨年9月の1キロ550円から、今年10月には1080円に値上がりしてしまったためです。
さて、話を分かりやすくするために、吉野家で牛丼が消費されるまで、バリューチェーンに「アメリカの畜産業者」「輸入・流通業者」「吉野家」の三者しかいないと仮定しましょう。
為替レートの変動(円安)も、実際には値上げに影響しているのでしょうが、ここでは無視します。
(1) アメリカの畜産業者:100円で牛肉を生産
(2) 日本の輸入・流通業者:アメリカの牛肉から100円で冷凍牛肉を仕入、吉野家に180円で販売
(3) 吉野家:輸入・流通業者から冷凍牛肉を180円で仕入れ、380円で消費者に販売
上記のプロセスを経て、皆さんが牛肉を食べたとき、吉野家の「付加価値」はいくらでしょうか。380円、ではありません。200円です。
380円の並盛の内、100円はアメリカの畜産業者、80円は輸入・流通業者が生産した付加価値になるのです。
さらに、GDPとは「国内で生産された付加価値の合計」になります。
アメリカの畜産業者は、もちろんアメリカで生産をしているため、380円の並盛代金の内、100円は「アメリカのGDP」として統計されます。厳密には、「アメリカの支出面のGDPにおいて、輸出が100円増えた」
という話です。
アメリカにとっての輸出とは、日本にとっては輸入です。GDP統計上、輸入は控除項目です。
というわけで、日本のGDPについて「三つの面」を見てみると、
・生産面のGDP:流通業者の付加価値80円+吉野家の付加価値200円=280円
・支出面のGDP:消費者が払った380円−輸入100円=280円
・分配面のGDP:流通業者の所得80円+吉野家の所得200円=280円と、GDP三面等価の原則が成立していることが分かります。
(GDP三面等価の原則は、成立しないことがないのですが)
また、今後、さらにアメリカ産牛肉が値上がりし、200円になったとします。
その場合、吉野家が価格をそのまま消費者に転嫁すると、並盛は480円になります。
ところが、並盛代金が上がったとはいえ、増えているのはアメリカのGDPであり、日本のGDPは280円で変わりません。
GDPについて正しく理解すると、「所得が上がる形の物価上昇」とは、いかなるものであるかが分かるはずです。
少なくとも、輸入品の値段が上昇し、消費者物価が上昇したとしても、日本のGDP(所得)は増えないという話です。
日本のGDPを増やすためには、「日本国内で生産する企業の付加価値の量を増やすか、金額を上げる」以外に方法がないのです。
輸入物価上昇により、消費者物価がプラス化しても、「日本のGDP(所得)」にとっては無意味なのです。
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