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2010年09月08日03:36

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Default Option

■家族承諾での移植後、臓器提供「拒否」が急増
(読売新聞 - 09月07日 16:14)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1334268&media_id=20

行動経済学の最近の動向を一般向けに読みやすくした本、Nudge (日本語訳も『実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択』ってタイトルで出てるけど、アマゾンの評をみると翻訳が悪そうね。 http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%9F%E8%B7%B5-%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%80%81%E5%AF%8C%E3%80%81%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%81%A1%E6%98%8E%E3%81%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E-%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/4822247473/)。

行動経済学の発見の一つに、 なにかの選択において、Default Optionをそのままにしておく人が多いから、どういう風にDefaultを設定するかでチョイスが変わってくる、というものがあるの。 Status Quo Biasとか言われるもの。 だから貯蓄プランも会社がどういう風にDefaultを設定するかで社員の貯蓄額がすごく変わってくる、という政策的にも重要なインプリケーションがあるのだけど。

Nudgeの中に、臓器の移植提供者を増やすにはどうしたらいいのか、の章があるのよね。 で、アメリカでは臓器移植のオプションは何もしなかったら、「移植しない」がDefault。 ヨーロッパの多くの国では積極的に「拒否する」のオプションを選ばなかった場合、「移植する」ってのがDefault。 その結果、臓器移植の率がヨーロッパでの方がアメリカよりも何倍も多い、って結果に。 アメリカでもイリノイ州で臓器移植の広告方法を変えたら、提供者がすごく増えた、って話も。

このニュースで知ったのは、日本もヨーロッパのように、Defaultが「移植する」なのね。 だから、「拒否する」がたったの2%だった。 ところが「家族の意思で移植」のニュースが伝わるや否や、アクションをとる人が急増して「拒否」が10%にも増えた。 いろいろ考えさせるものがあるわね。

まず第一に、ニュースのSalient effect。 このニュースがあったから「拒否する」が急増したけど、これもあと数ヶ月したら忘れられて、元の2%にもどるんでしょうね、ってのがアタシの予感。 だから、医療関係者はなにも心配することないと思う。

そして、人間の基本的な効用に関する話。 アタシは死んだ後のことはどうでもいいから、勿論臓器移植ドナーなんだけど。 でもこんなに多くの人が、あるニュースの後で、「オット、下手すると自分の臓器も移植されかねないから、拒否しとかなきゃ」って人が急増する、ってことはかなりの人が自分の臓器を移植したくないと思ってるのかしら? 「アクションをとった人が5倍増」ってことは、Inertiaでアクションをとらなかった人はもっといるはずだから、かなりの割合の人が「臓器移植はしたくない」と思ってる模様よね?

ADB時代の同僚の人で前職が三菱総研の人がいて。 彼は、会社にアメリカに留学させてもらって帰ってきたらすぐ辞めて外資系の銀行とかに高給で移っていく人たちを苦々しく思ってて。 彼の言うには、「『留学から帰ってきて○年以内に辞めたらお金を返す』なんて証文は効果ない、移行先の企業が払ってくれるかもしれないし。 これを辞めさせるには、『○年以内に辞めたら、臓器移植のドナーに登録します。』って証文を書かせたら、みんなちゃんと規約どおりに勤め上げるよ!」って言ってて。 彼の中では「臓器移植」って絶対したくないことのようだったみたい。 アタシは「へ? そんなもの? 死んだ後のことなんて関係ないじゃない?」って思ってたけど、このニュースを読むと、かなりの人が「自分のものを人にとられるのはイヤ!」って思ってるみたいね。 それが「平均的」な効用なのかしら?
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