1959年、武蔵野美術卒業制作として桑山弥三郎氏と伊藤勝一氏が新書体の開発を始めたことがきっかけで誕生した書体。この「タイポス」は、伊藤勝一・桑山弥三郎・長田克巳・林隆男をメンバーとする「グループ・タイポ」により開発された。
1962年に「タイポス」という、ひらがな・カタカナの斬新な書体が誕生した。漢字は石井明朝体を前提として開発されている。「タイポス」は、戦後のモダーンタイプフェイスの代表格で、グラフィックデザイン、グラフィックアーツの世界に一大ブームを起こした。新書体が生れたり、既存書体のある書体が突然よく使われだすという背景には、偶然ではなく社会的ないろいろな要素が絡んでいる。従来から「本文組み用の書体は、空気のようにその存在を感じさせないものが良い」といわれているが、タイポスはその概念を破るように文字の存在感を示している。
1969年(株)写研から、「タイポス35・37・45・411」のファミリーとして発売され、その後1972年に、「タイポス44・ 66・88・1212」などのファミリーが続いて発売された。
1990年頃ベストセラーになった、黒柳徹子著の「窓ぎわのトットちゃん」の文章組みに使われている活字のことが話題になったことがある。このようなことは今までになかったことだといわれたが、本文組みに使われた書体が「タイポス」である。(『書体を創る』林隆男著より)
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