●●アンチ・オリンピック●●

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詳細 2022年2月18日 16:10更新: 客観的に（数値で）評価されるスポーツの世界。オリンピック。
そこは、徹頭徹尾「ふるい落とされる世界」であって、
〝拾い上げられる世界〟ではない・・・・。
学問や技芸の世界にも、オリンピックのように評価され頂点を臨
むということがないわけではない。たとえば、ノーベル賞とか。
しかし、ノーベル賞とオリンピックの金メダルの違うところは、
前者は、あくまで結果なのだが、後者のそれはあまりにも目的化
され過ぎているということである。
＊
人間は愚かな生き物で、倫理的道徳的に「悪い（すべきでない）」
ことを平気でやっていることがある。
たとえば、〝汝、殺すなかれ〟という至上命題に気付いていなが
ら、戦争で敵国の人間を残虐に殺戮するようなこととして。
それは、道徳的に許される範囲での〝正当防衛〟という闇の〝声〟
への応答としてではなく、明らかな害意を持って行為している。
けして、言い訳が出来ないことなのは明らかなのだが、なぜか、
正義や人権や愛という主観性を尊ぶ人々でさえ、自己の価値基準
に合致しない者を平気で「ふるい落とし」抹殺し、自らの正当性
が証明され評価されたと歓喜の声を上げるのだ。
まるで、表彰台に立つ五輪アスリートのように・・・・・。
＊
この謂わば「オリンピック的なメンタリティ」は現在、世界中の
権力構造においても大多数の世論においてさえ、何の疑いもなく
肯定され続けているのだ。
オリンピックは商業主義でもうダメだとか、一部の権力者に牛耳
られている姿は見るに堪えないとかいう批判はあるのだが、オリ
ンピックそのものの、そういう有り方に疑問をもつ者は、なぜか
皆無に等しいのである。
それは、おそらく「ふるい落とされた者」の意見には誰も耳を貸さ
ないからだろう。当たり前の話と言われればそれまでだが・・・。
戦争の狂気に呑み込まれた群衆が、無残に殺される敵国の者たちの
〝声〟などに聞く耳をもたないということと同じだ。
＊
オリンピックに対して、どんな倫理的道徳的要請があるかという
ことを「殺すな」「盗むな」という単純な言明で指し示すことは
難しい。宗教的な戒律を挙げてそれを説明することは可能かもし
れないが、あえてやるつもりはない。
というのは、衒学的な物言いには、そのことを何か遠い世界の出
来事のように思わせてしまう危険性がつねに内在するからである。
ゆえに、できるだけ分かり易い日常的な言葉で、そのことの異常
性と精神的なリスクを説明したいと思う。
「オリンピック的なメンタリティ」のなにが非倫理的で非道徳的
なのか・・・・。
＊
いかなる意味においても人間を物化してしまうこととなる「ふる
い落とす」ということはしてはならない。たとえ、相手の同意が
あっても、他者を物のように扱うその行為自体が「悪」だからだ。
＊
もしそれが本当なら、オリンピックでのドーピング行為は何ら悪
ではなく非難される筋合いも無いということになる。
なぜなら、「ふるい落とされ」物のように扱われることを怖れた者
が、緊急避難として、薬物を使用したとしても、その行為に違法性
を問うことまでは出来ないと解するからである。
余談ではあるが、アンチ・オリンピックという観点から、そうい
う解釈も成り立つということだ。