アメリカの民俗・音楽学者、アラン・ローマックス。
この人がいなければ、マディ・ウォーターズはマッキンレイ・モーガンフィールドで一生を終え、ローリング・ストーンズもなかったでしょう。
【アラン・ローマックス】 1915年生まれ。民俗音楽研究家の父ジョン・ローマックスと共にフォーク、ブルース、ジャズなどジャンルを超えた民俗音楽の発掘、収集のために全米各地を放浪。レッドベリー、ウディ・ガスリーらをはじめ、伝説的なアーティストたちを広く紹介した。また、アメリカ南部の農村や黒人集落に伝わるフォークソングや刑務所で囚人たちが歌うワークソング(労働歌)、さらにヨーロッパに渡り、イギリス、スペイン、イタリアやカリブ海にも足を運び、音源採集をライフワークとして活動。彼が録り収めた数々のレコードは20世紀の膨大な音楽遺産としてのライブラリー保管され、音楽学、民俗学においても数多くの貴重なレコードを残した。
奴隷として働かされる黒人や囚人たちののワーク・ソングの数々は、ブルースやジャズの原点を現在に伝えるだけでなく、感情の発露としての音楽のソウルフルな躍動感に溢れ、深く胸を打つものばかり。
'60年に出版した「ザ・フォークソングズ・オブ・ノースアメリカ」は多くの若手音楽家を触発、フォークソング・ブーム、ロックにおけるルーツ回帰のきっかけの一つともなり、その影響は90年代ポスト・ロックにも波及。
驚くべきは50年も前の録音にもかかわらず、音質は鮮明かつ良質で、当時としては最高技術でのマスタリングによる音響資料としても賞賛される、20世紀の偉大なフィールド・レコーディングの賢者です。
96年に、その長い採集活動に終止符を打ち、2002年、87歳で米フロリダ州サラソタの養護施設にてこの世を去りました。
彼が残した様々な音楽遺産を作品を通じてぜひ体感してみて下さい。
アランは、父ジョンに導かれルーツ・ミュージックの記録と研究を始めた。ローマックス父子の活動がなければ、アメリカの音楽史は異なったものになっていたと言っても大袈裟ではない。合衆国において比肩する者のない存在である。
種々の音楽を録音しつつ書き記されたエッセイ、比較音楽文化論、優れたモノグラフはどれも重要なものであり、発表された時期の早さと先見性には驚くばかりだ。
アランは、レッドベリー(ブルース)のデビューに立ち会い、ピート・シーガー、ウディ・ガスリー(フォーク)の活動を支え、ジェリー・ロール・モートン(ジャズ)を熱意を込めて録音した。有能プロデューサーとしての彼の言葉は、リスナーの探究心に大きく応えるだろう。
「真のアメリカン・オリジナル」
……スタッズ・ターケル
「アラン・ローマックスがいなければ、ブルースの爆発もR&Bの運動もなかっただろう。そして、ビートルズもローリング・ストーンズもヴェルヴェット・アンダーグラウンドも存在しなかっただろう」
……ブライアン・イーノ
入手可能なCDもまだあります。
一部、プレミア価格なんかで販売している時もありますが・・。
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