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ピタゴラス音律

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詳細 2016年7月14日 00:07更新

ピタゴラス音律(ピタゴラスおんりつ)は、純正5度を積み重ねることだけを利用した音律である。純正5度は周波数比2:3を意味する。この音程12個ぶんの積み重ねは、オクターブ(周波数比1:2)7個ぶんの積み重ねと僅差である。

(3/2)12 ≒ (2/1)7

仮にCを出発点として下方に3音を、上方に8音を積み重ねるとつぎの音列を得る。

Eb - Bb - F - C - G - D - A - E - B - F# - C# - G# (-D#)

このとき上方の9音めのD#が下方のEbと (3/2)12 をなし、これがほぼ7オクターブに達する。上の音列を1オクターブに収めれば、ピタゴラス音律による半音階が得られたことになる。

C - C# - D -Eb - E - F - F# - G - G# - A - Bb - B (- C)

この半音階はピタゴラス音律によって規定されており、これをピタゴラス音階と呼ぶことがある。また積み重ねを途中で止め、いわゆる長音階として得られたものもピタゴラス音階と呼ばれる。

C - D - E - F - G - A - B (- C)

純正5度の積み重ねによって12個の音を得るというアイデアは、比較的単純である。このため西洋以外の文化圏でも同様のアイデアにもとづく音列が見られる。これを西洋の理論の立場から、音律や音階に相当するものと看做すことができる。古代中国で生まれた三分損益法はその一例である。

ピタゴラス音律では、5度が純正になり美しく響き、旋律(メロディー)を美しく表現できるとされている。しかし、5度を4回積み重ねて得られる長3度の音程は、純正な響き(音程比4:5)に対して1/5半音ほど広くなり、濁った響きとなる(シントニックコンマ)。 また、5度の積み重ね12個分とオクターブの7個分の積み重ねの差(半音の1/4程度)による誤差(ピタゴラスコンマ)が以下のような結果をもたらす。 Aを出発点として上方に積み重ねるとつぎの音列を得る。

 A - E - B - F# - C# - G# - D#(Eb) - Bb - F - C - G - D

すると、最後のDと最初のAでは、前述の誤差により純正5度よりも狭い間隔になっている。しかし、狭い5度D-Aを挟んだF-A、C-E、G-B、等の長三度は、他の長3度よりも1/4半音ほど狭くなり、ハ長調の主要3和音の長3度は純正にな響きに対する誤差が僅か 1/50半音となる。また、これらの主要3和音の5度F-C、C-G、G-Dは純正なので、これらの主要3和音 F-A-C、C-E-G、G-B-Dは美しく響くことができる。

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