いつの頃からか、木の香りが好きだった。
製材所の前を通った時や材木を積んだ車が目の前を通った時などに
香る何とも形容しがたい感じが一瞬の癒しだった。
何故なんだろうと自分でも解らず、さして理由は探そうとも
しなかったけど、最近やっと理由が解った。
子供の頃カブトムシやクワガタムシを捕ってきてミカン箱いっぱいに
入れたオガクズの匂いが頭にこびり付いていたのだ。
これにムシが放つ特有の匂いが結合した独特の芳しい香りが
今となっては懐かしい。
夏になるとムシと遊んだ良き少年時代。
子供の頃の忘れ物を急に取りに行きたくなった、大人の自分が今いる。