北インドの古典音楽の中でも「奥の院」のドゥルパドのコミュニティです。
音楽のヨーガの真骨頂とも言うべき、瞑想的でウルトラディープなドゥルパド。
超マイナーで超マニアックな世界ですが、ひとたびその究極さに魅了されてしまえば、もう「ドゥルパド人」。
北インドの古典音楽は、大きく二つの様式に別れています。
弦楽器シタールや打楽器タブラなど、近年日本の皆さんにも馴染み深くなったのは、現代スタイルのカヤール Khyāl。
(āとかī, ū と上にバーがついていれば伸ばして発音。)
そしてこのドゥルパド Dhrupad は言わば古楽で、中心は声楽。
器楽演奏では弦楽器ルドラ・ヴィーナー Rudra Vīṇā やスルバハール Surbahār、打楽器は両面太鼓パカーワジ Pakhāvajがドゥルパドで使われます。
(実はカヤールも声楽家が一番多いのですが、声楽は日本ではあまりまだ紹介されていません。)
ドゥルパドの起源はどのぐらい古いかと言うと、その遡り方によって諸説あり、9世紀から13世紀ぐらいだと言われています。
インドの音楽家は自国の音楽の起源をサーマ・ヴェーダまで遡るのが好きですので、そのスコープで見ると5千年以上前ですが、これではドゥルパドというよりはカヤールなども含むインドのパーフォーミング・アート(上演芸術)全体の起源と言えます。
ドゥルパドが様式としてほぼ今の形で確立したのは15世紀のグワリオールのマハラジャの宮廷であったというのが、現在もっとも支持されている説です。
日本でドゥルパドが紹介されたのは、80年代後半にダーガル・ブラザーズ(ジュニア) が来日ツアーをしたのが初めてのようで、当時の録音が入手可能です。
その後、しばらく間がありましたが、近年グンデーチャ・ブラザース が来日、今年(2010年)10月には、ドクター・リトウィック・サンニャルが来日の予定です。
この気運にのって、ドゥルパドが日本に広まれば!ということで、このコミュの誕生となりました。
写真は、1980年代初頭、コルカタのタウンホールのバルコニーで、ダーガル・ファミリー大集合の写真です。
来日されたお二方もここに。
ダーガル Ḍāgar というのは、4つあるドゥルパドの歌い回しの一つです。
主にこの歌い回しで演奏する流派がダーガル流派。
そしてこの伝統でドゥルパドの火を絶やさず継承してきた家系音楽家の方々がダーガル・ファミリーです。
現在、ルドラ・ヴィーナー演奏家のバハウッディーン・モヒウッディーン・ダーガルがこの家系の20世代目だと言う、ファミリーの方々のお話。
オドロキの伝統家系です。
グンデーチャ・ブラザーズも、ドクター・リトウィック・サンニャルも、このダーガル流派に属します。
他にもダルバンガー流派など2〜3の流派がインド・パキスタン文化圏で息づいています。
ドゥルパドの歴史、演奏スタイルや演奏家たち、流派のこと、声楽と器楽、カヤール様式との違い、背後のスピリチュアリズム、その他関連するラーガやターラなどインドの上演芸術「サンギート Saṅgīt 」一般に関しても、どんどん情報や質問などをお寄せください。
管理人も、ドゥルパド人としてはまだまだ未熟ですが、ご質問に精一杯答えていきたいと思います。
ॐ नाद-ब्रह्म रे