悪くはない、だがエレガントとは言い難いな。
地球圏統一連合・SMS(スペシャルズ/特別モビルスーツ部隊)創設者兼最高指揮官。本編開始時点でのOZ総帥。階級は上級特佐。レディ・アンを副官としている。AC193年着任。
若きカリスマとして、多くの兵士から尊敬・崇拝されている。彼自身も優秀なモビルスーツパイロットであり、その技量はガンダムパイロットと同等以上。自然を愛し、闘いに対して独自の概念を持っている。ロームフェラ財団の一員で、彼の祖父は前代表。戦争の惨劇と悲しみを強く実感しており、戦死者の名前と人数をすべて覚えている。サンクキングダムのミリアルド・ピースクラフト(ゼクス・マーキス)とは個人的に親交がある。
OZの教官を務めていたころ、X-18999コロニーに赴任した際にクーデターの制圧に出動。その際にヒイロ・ユイによる司令部(なおこの時オペレーターとしてルクレツィア・ノインがいた)へのミサイル攻撃を自機を盾にして防ぎ負傷。その時に入院した病院の看護師をつとめていたのが、マリーメイア・クシュリナーダの母レイア・バートンだった。
復帰後も数々の戦果を上げ、カタロニア将軍(ドロシーの父)の戦死後OZ総帥に就任。
名前の由来はフランス語の「13 (treize トレーズ)」。
コロニーから送り込まれてきた5機のガンダムの攻撃に対応する一方、OZが歴史の表舞台に躍り出るべくクーデターを画策し、ガンダムのパイロット達に偽情報を送り統一連合の議事堂を襲撃させる。その場で行われていた軍縮会議を中断させ、さらに自ら労せずしてガンダムによって和平論者達を一掃させる。ただ一人トレーズの策略を見抜いていた張五飛はその喉元まで迫るが、その五飛に対してトレーズは生身同士での決闘を申し出る。それに応えた五飛と剣を交え、トレーズは鮮やかな剣技で五飛を破るが、五飛を殺さずに再度の対決を楽しみにしていると言葉をかける。これによって五飛は敗北感を刻み付けられ、これ以来トレーズとの長い因縁と葛藤が始まる。
その後も地球においてガンダムたちを追い詰め、コロニーをも懐柔して宇宙にも進出するなどOZの躍進は続くが、一方トレーズは、組織に無断でガンダムを改修し、ヒイロとの個人的な決着をつけようとしたゼクスを、反逆者として処罰することをロームフェラ財団から迫られる。このためゼクスに70機もの追討部隊を差し向けるが、トレーズはそれを突破して生き延びることを期待していた。また自らも人間同士による崇高な戦いを理想とする事から、財団の合理主義によるモビルドール導入に反対する旨を表明し、OZ総帥の座を解任される。
その後ルクセンブルクの古城に幽閉され、しばらくその姿を消していたが、その中で自らの理念を体現したMSガンダムエピオンを完成させる。トレーズは、戦うべき道しるべを失ったヒイロを城に招き入れ、お互いの考えを語り合おうとするが、ヒイロは「今もお前のために多くの兵士が死んでいっているのに、なぜ歴史の表に立たない」とトレーズに問う。更に「終わらせるべきは、自分のむなしい戦いだ」と言うヒイロに、この機体で今一度自分の戦う意義を模索するようにと、ヒイロにガンダムエピオンを託す。
その後、サンクキングダムを追われ、デルマイユに祭り上げられる形でリリーナ・ピースクラフトが財団代表及び世界国家元首に着任するが、リリーナはデルマイユの手に負えない求心力を発揮し、財団の支持を集める。財団はリリーナの元で軍事主義の見直しやコロニーとの和解への道を進み始めるが、ミリアルド・ピースクラフトとしてホワイトファングの司令官になった兄ゼクスが、地球排除を宣言する。
それに対処すべくトレーズが再び表舞台に復帰、リリーナを財団代表の座から解任させ、ロームフェラから解き放つ。そして自ら世界国家元首に着任して地球上の軍事力を統一、ホワイトファングとの全面対決に臨む。トレーズはゼクスと対決することで、共に今度の戦いを最後に、戦争の歴史に幕を引く役を担うことを意図していた。戦いの最終局面では自らトールギスIIを駆り、地球に矛先を向けるリーブラを陥落させるべく、世界国家軍を率いてホワイトファングと激戦を繰り広げる。その最中、再び五飛と合いまみえ今度はMSで決闘を行う。激闘の末、アルトロンの矛がトールギスIIを貫いてトレーズは敗れ、戦争開始から10万と10人目の戦死者となった(ただし、小説版『Endless Waltz』ではトレーズは戦死者数を「99,812人」と述べており、五飛に敗北した際、トレーズは10万人目の戦死者として記されている)。
この決着を五飛は、トレーズがあえて隙を見せて突進して自分の機体を貫かせたと思い、「勝ち逃げ」されたとトレーズへの葛藤に決着をつけることが出来なかった。しかし小説版『Endless Waltz』で、それは五飛の誤解である事が明かされており、トレーズはこの時本気で五飛を斃そうとしていた。これは五飛が東洋人であるために「武士道」を重んじるのに対し、トレーズは「騎士道」を重んじていたがためのギャップと説明されている。またトレーズが、人々の戦おうとする姿勢を「美しい」と感じる一方で、大量の人命を奪う事になる戦争を「悪」と考えており(トレーズの中で、このふたつの感覚は矛盾しない)、それ故、戦争を引き起こそうとする自分を決して英雄視せず、「悪」と断じて最後まで肯定しなかった五飛を「最大の理解者」と評したのは、本心からの事である。
その墓碑銘には「平和のための礎となり、信念のままに死す」と記される
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