転校生:熊本県出身埼玉県在住、水本夏絵によるソロ・プロジェクト。
「わたしの音楽がひつじなら、わたし自身はオオカミだ」
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生まれた時から転校生だった、と彼女は言った。教室のざわめきを遠くに聞きながら、カーテンの揺れる窓の向こう、校庭をぼんやり眺めて。
「普通の未来」は最初からあきらめていた。小さな部屋でゲームとネットとアニメだけを友達に、息を潜めて暮らしていた女の子。学校にも行かず、アルバイトも続かず、膝を抱えながら、でも彼女はひそかに歌を歌っていた。歌うことで初めて世界と繋がれた。
ある日、彼女は夜行バスに乗った。キーボードとPSPだけを持って――
今にも壊れてしまいそうなギリギリのバランスで、水本夏絵は歌っている。かなしみもさみしさも怒りも、そしてほんのちょっとだけある希望も、全部そのままにつめこんで。透明で嘘がない彼女の歌は、きっと他の誰かにとっても自分の歌になるだろう。
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