澤田ふじ子

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詳細 2015年4月8日 22:57更新: ｢もちろん不満でございます。はっきりもうしてわたくしは、吉兵衛どのを見損ないました。孫一どのが林蔵どのの身を案じ、追い詰められた気持ちで、そなたの許に相談にまいられたともうすに、そなたはどうしてすぐ腰を上げないのです。林蔵どのは、そなたの恩人のはずではございませぬか。すぐる年、そなたは藩家の京屋敷の門を閉じられ、塀を乗り越えようといたされました。その折、林蔵どのに見咎められ、あわや一騒動の場面になりましたなあ。あのときわたくしは、土間に座って両手をつき、林蔵どのやほかのお人たちを迎えました。ふと目を上げたわたくしを見て、林蔵どのは一瞬、ご母堂、安心してくだされというように、微笑いたされました。わたくしはいまでもあの林蔵どのの微笑を、胸に刻んでおりまする。そなたがあのようなお人に巡り会うたればこそ、お扶持から見放されたとて、いま生きていかれるのだとは、お思いになりませぬか｣

－火宅の坂より－

独特の京訛りの語り口、
京都の風土に関する豊富な知識、
抑えた描写は心地好い静かな余韻を残します。

精密、精緻な文章、痺れます。

お好きな方、どうぞいらしてください。

Wikipediaより

澤田ふじ子（さわだふじこ、1946年 - ）は日本の作家。時代小説家。愛知県半田市生まれ。京都市在住。

愛知県立女子大学（現・愛知県立大学）卒業後、高校教師、西陣織工等の勤めを経て、1973年作家デビュー。以後、時代小説を中心として数々の作品を発表している。

作品
羅城門（1978年10月講談社）
天平大仏記（1980年5月角川書店）
陸奥甲冑記（1981年1月講談社）
染織曼荼羅（1981年2月朝日新聞社）
寂野（1981年4月講談社）
利休啾々（1982年2月講談社）
けもの谷（1982年1月講談社）
淀どの覚書（1983年1月講談社）
討たれざるもの（1983年3月中央公論社）
修羅の器（1983年11月朝日新聞社）
黒染の剣 <上> （1984年1月講談社）
黒染の剣 <下> （1984年1月講談社）
葉菊の露 <上> （1984年10月中央公論社）
葉菊の露 <下> （1984年10月中央公論社）
染織草紙（1984年12月文化出版局）
七福盗奇伝（1985年1月角川書店）
夕鶴恋歌（1985年3月講談社）
蜜柑庄屋・金十郎（1985年6月集英社集英社文庫）
黒髪の月（2000年8月徳間書店徳間文庫）集英社文庫を改題
虹の橋（1987年9月中央公論社）
重籐の弓（1996年4月徳間書店）
将監さまの橋（2001年1月徳間書店徳間文庫）文庫化時改題
高札の顔酒解神社・神灯日記（2005年2月徳間書店）
これからの橋—澤田ふじ子自選短編集（2007年1月中央公論新社）
禁裏御付武士事件簿 [編集]
神無月の女（1991年1月実業之日本社）
朝霧の賊（1993年5月実業之日本社）
王事の悪徒（2003年1月徳間書店）
公事宿事件書留帳 [編集]
闇の掟（1991年6月廣済堂出版）
木戸の椿（1992年9月廣済堂出版）
拷問蔵（1993年11月廣済堂出版）
奈落の水（1997年11月廣済堂出版）
背中の髑髏（1999年5月廣済堂出版）
ひとでなし（2000年11月幻冬舎）
にたり地蔵（2002年6月幻冬舎）
恵比寿町火事（2003年6月幻冬舎）
悪い棺（2003年12月幻冬舎）
釈迦の女（2004年7月幻冬舎）
無頼の絵師（2005年5月幻冬舎）
比丘尼茶碗（2006年2月幻冬舎）
雨女（2006年8月幻冬舎）
世間の辻（2007年1月幻冬舎）
遠い椿（2009年4月幻冬舎）
足引き寺閻魔帳（1995年7月徳間書店）
女狐の罠（1998年4月徳間書店）
聖護院の仇討（2000年4月徳間書店）
嵐山殺景（2003年9月徳間書店）
悪の梯子（2004年10月徳間書店）
山姥の夜（2006年4月徳間書店）
暗殺の牒状（2007年5月徳間書店）
亡者の銭（2008年3月徳間書店）
妻敵にあらず（2009年3月徳間書店）
真贋控帳
これからの松（1995年11月朝日新聞社）
霧の罠（2000年11月徳間書店）
地獄の始末（2001年7月徳間書店）
高瀬川女船歌 [編集]
高瀬川女船歌（1997年11月新潮社）
いのちの蛍（2000年2月新潮社）
銭とり橋（2003年4月幻冬舎）
篠山早春譜（2005年3月幻冬舎）
祇園社神灯事件簿
奇妙な刺客（2000年3月廣済堂出版）
夜の腕（2002年3月中央公論新社）
真葛ヶ原の決闘（2004年3月中央公論新社）
お火役凶状（2006年5月中央公論新社）
神書板刻（2007年11月中央公論新社）
土御門家・陰陽事件簿
大盗の夜（2002年7月光文社）
鴉婆（2003年10月光文社）
狐官女（2005年11月光文社）
逆髪（2007年6月光文社）
雪山冥府図（2008年12月光文社）
京都市井図絵 [編集]
花籠の櫛（2004年6月徳間書店）
やがての螢（2006年1月徳間書店）