「馬鹿らしいですよ、こんなの」
マイトレーヤはフリップを憎んでいたのだ。
マイトレーヤとは弥勒菩薩の別称である。
シッダールタの入滅後、56億7000万年後に人類を救済する役割を荷う。
弥勒(みろく)という名前から、6が3個(666)の数字を連想させられる。
これはキリスト教の偽救世主の数字であり、56億7000万年は太陽系の寿命に一致する。
マイトレーヤの正体はアンチキリストであり、太陽系を消滅させて人類を救済する次世代の仏陀なのである。
太陽系の消滅、それこそが未来人類を衆生救済する行為なのだろうか。
全てを無にすることで、彼は全人類に悟りを開かせるのであろうか。
マイトレーヤにとっては、人類の運命など投げられたフリップ同然の価値しかないのである。