2009年も終わりに近づいて、それぞれの人生の岐路に立っていた僕達は大事な何かを失おうとしていた。
みんな心のどこかではその大事な何かを失ってはいけないと、必死にもがき苦しんで、手を伸ばしてみても、握った手を開くといつも僕達の両手には何も残っていなかったんだ。
僕達にとって大切なものがなにかはまだよく分からない。どうしたらそれを得られるかも分からない。子供のようにただがむしゃらになれることも出来ず、大人のように冷静に物事を運ぶことも出来ない、そんな中途半端な僕達に出来ることといえば、焼き肉を食べることだけだった。
もう答えなんてなくていい、焼き肉とご飯だけがあればそれでいい。