「ミスワカナ・玉松一郎」のコンビで戦前・戦後に一世を風靡した漫才師。
理路整然と話して男性をやり込めるという夫婦漫才のスタイルを確立。さらにタップを踊り、歌を唄い、全国の国訛りを操り、シナ語も漫才に取り入れるという天才的な漫才師であった。
だが、演劇で知り合ったインテリ俳優と不倫をし、一郎と離婚。当時合法だったヒロポンに溺れ、36歳の若さでこの世を去る。
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「わてが耳に投げ仕込む音盤たち 57」ミスワカナ 玉松一郎・天才的話芸
初代ワカナの鉄砲のごときスピード感で繰り出される変幻自在な話術と歌、茫洋としていながら実は絶妙にワカナを受ける一郎のツッコミとアコーディオンの演奏は、現在もなお非常に高い評価を得ている。ワカナ・一郎は、女性が男性をやっつけて話の主導権を握るという女性上位漫才の祖とも言うべき存在であり、ミヤコ蝶々・南都雄二、ミスワカサ・島ひろし、島田洋之介・今喜多代など、その後多く輩出される男女コンビに大きな影響を与えた。
華奢なワカナは、大柄でお世辞にもハンサムとは言いがたい一郎を「目はちっちゃいし、鼻は開いてる」「横で鼻をパクパクさせている」などと攻撃し、大いに笑いを取った。またワカナは、その人並外れた記憶力と優れた音感を武器として、歌唱力に長けていたばかりでなく、日本全国のさまざまな方言を自在に操るという離れ業ができた。現在もSPレコードで聴くことができる「ワカナの放浪記」「全国婦人大会」「わらわし隊」などは、全てワカナの天才ぶりがフルに発揮された傑作である。
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