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マッケンローに宿った神

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詳細 2020年3月15日 21:10更新

■ はじめに
「神は細部に宿る」と言われています。
それは、テニスにもあてはまります。
80年代に活躍した伝説の名テニスプレーヤー、ジョンマッケンローは、
多くの人に天才と言わせました。
マッケンローの細部に宿った神(髪ではない)をみていくことで、
少しでもテニス愛好家の方々の参考になればと思います。

■ 細部の神をみていく前に
長く活躍している名選手は、その時代の「勝負の土俵」を変革してきました。
70年代までは、ボールの「スピード」も、「コントロール」も、
腕から先だけでまかなわれていました。

つまり、
「ボールを飛ばしながら、きちんと狙ったところに打てる腕を持っている人は誰?」って競っていたわけです。
裏を返すと、あまり体全体を使って打っていなかったということ。

そこに、ジミーコナーズが登場します。
彼は、体全身を使ってボールをコートに打ち込みました。
この「体全身を使って打つ」ということは大きな変革でした。
どんな変革かと言うと、
正確にスピードボールを打つために 「体と腕を分業させた」ことでした。

具体的に言うと、コナーズは、「腕はボールに飛ばす」ことに専念させ、「コントロールは体全身を使う」ことにしました。
この分業により、コントロールとスピードを両立させることができました。

コナーズの出現までは、飛び上がりながら打ったり、ボールがつぶれそうになるぐらい力強く打つ選手はいませんでした。
コナーズは、当時活躍していたローズウォールやニューカムを圧倒しました。
1974年、コナーズは4大大会のうち、フレンチオープンを除く他の3つのタイトルを獲得しました。
体いっぱい動かすコナーズの動きは躍動的で、観客を魅了しました。

コナーズの時代の到来です。

平たく言うとコナーズの戦術はこうです。
「相手がどこにいようが、どうコースを読んでいようが、
オレは狙ったところに凄いスピードでボールを打ち込んでやる。
取れるもんなら取ってみろ!」

しかし、時の流れとともに、2つの問題が発生してきました。

1つめは、「コナーズもコンピュータじゃなかった」ということです。
いくら運動神経の良いコナーズでも、
何回も何回もしつこく返されるとやはりミスもでてくる。
その綻びをうまく突いたのが、ビヨンボルグでした。

ボルグは、どんなボールでも、リスクの低い安全な球筋で何回でも返球してきました。
コナーズが100回強打しても、ボルグは101回返すことができました。
ボールを相手のコートに入れなければいけない以上、物理的にボールのスピードには限界があります。スピードがあるほどネットやアウトするリスクが増えるものです。

2つめは、「相手も道具も進化した」ということです。
いくらスピードのあるボールでも、洞察視力がよければ「面を合わせる」だけで結構返球できます。 むしろ スピードを利用できたりする。
うまく合わせることができたのが、ジョンマッケンローでした。

マッケンローは、速ければ速いほどうまく面を合わせました。まるで面を合わせるのを楽しんでいるかのように。

しだいに、ボルグとマッケンローに対し分が悪くなっていきますが、コナーズが起こした変革は偉大でした。
コナーズの変革に呼応するように、「ならば」と登場したのがこの2人だったのです。

3人のやり方を平たく言うとこうです。

「こんなに速いボールを打ち込めたらスゴくない?」と考えていたのがコナーズ、
「どんだけ打ち込まれても必ず返球できたらスゴくない?」と考えていたのがボルグ、
「どんな速いボールでも、どんだけ返球されても、相手が思いもつかないコースにラクラクと打てたらスゴくない?」と考えていたのがマッケンローです。

3人ともスゴいのですが、中でも私が魅せられたのはマッケンローでした。
私はマッケンローの多くの試合を繰り返し観てきました。

各トピックで、マッケンローの細部に宿った神を紹介していきます。

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