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世田谷観音と散歩みち

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詳細 2022年12月2日 20:11更新

世田谷の散歩道のポイントのひとつ 
世田谷区下馬4丁目
三軒茶屋から徒歩15分 学芸大学からも20分弱 渋谷から野沢龍雲寺行きバスが至近
西隣の学芸大付属高校,東隣の公園と連なって緑が豊かで,仁王門前の桜の大木の見事さにとどまらず様々な季節の華やぎが愉しめます。
松ぼっくりが緑の芝に点々と転がっているのを観るだけでも
散歩の価値はありそうです。
http://www.setagayakannon.com/
このコミュニティがガイドになるか 四阿,休憩所になるかは成り行き次第で
周辺の紹介,発見が加わっても面白いかなと

ここは
1939年から造成が始まり戦争を挟んで1951年に金龍山浅草寺の手で本尊聖観音の開眼供養が行われて開基された新しいお寺。
ただし恐らく明治維新の廃仏毀釈で離散流失したものを保護収集していた新潟の石油資産家から譲り受けた数々の建築物と仏像,そして鬱蒼とした緑がお寺の風格を醸成しています。

本尊 聖観世音菩薩は伊勢長島 興昭寺の秘仏であったと伝えられ,金銅仏でありながら木のような自然な質感と刀印を結んだ異相が想像力を掻き立てるものがあります。左手の水瓶が心なし底が拡く徳利に見えると言ったら罰当たりか。
ただしご尊顔は柔和なお顔で女性的に感じられます。

京都二条城の月見櫓だったと伝わる建造物は阿弥陀堂として不思議な佇まい。
お堂に入ると九躯の羅漢の視線が注がれる事に気が付かされます。
脇にも居られる韋駄天の文字が建物の三階部分にあり,阿弥陀堂なのに何故と思えば,これは日本のマラソンの父と称される金栗四三氏がここを基点として幾度かハーフ・マラソンを主催した事に由来するそうです。

特筆すべきは瀟洒な六角堂に納められた不動明王と眷属である八大童子像。
九体揃っての造像は他に高野山金剛峰寺があるのみで,あちらは座像こちらは立像。九体揃って拝観できるのはここだけと言えそうです。但し拝観が可能なのは28日の護摩厳修の際のみ。1272年康円作の国指定重要文化財です。

ひとつのお寺の特色 と言えそうなのが,初代和尚の履歴
明治41年に来日し草津でハンセン氏病患者の奉仕活動に従事された英国人宣教師M.H.コンウォール・リー女史にキリスト教の洗礼を受け,後に女史の理解も得て得度し,更に戦時中には神官の資格を以て王子稲荷社に奉仕されていたという。そういった和尚の精神ゆえか,境内には行き場を失った仏像達などが溢れています。
大きなマリア観音から西郷隆盛の弟筋に伝わっていた観音像,漁師の網にかかった布袋尊,また財政難から大寺を立ち退かざるを得なくなった太平洋戦争での特攻隊の御霊を祀った特攻観音(許諾を得て法隆寺の夢違観音を模写)も引き取られています。これはお堂を別に新築されて拝観の混乱を避けられてもいます。その際に吉田茂揮毫の碑も立てられたそうです。また境内の池の中央にも夢違観音はお立ちになられています。

お寺の看板にも宗派は記載されておらず
宗教宗派に拘らずに立ち寄る事が可能な 癒しの沙庭(清庭)と言えそうです。
山主となった二代目の和尚さんと3人の住職に屈託のない笑顔でお迎え頂けます。
奈良・京都は遠すぎて鎌倉行くにも時間がないという人にも
境内のベンチに座って空を見上げれば 良い風が抜けていきます。
東京のお寺にありがちな綺麗すぎる事も威厳を押しつける事もなく,程良く自然体で草臥れた風合いが親しみを感じさせてくれます。

運がよければ御堂でのお勤めに招き入れて頂けて,読経に立ち会う事も
そんなことも東京では珍しいのではないでしょうか

安楽院住職(三兄弟のご次男)がブログを始められました
世田谷観音門前ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/kyobm21

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