かつて、京都河原町三條二筋下ル
東入ル北側に、7席だけの古くて
小さなバーがあった。その名は、
オーシャンバー『リラ亭』。
60・70年安保の学生運動が盛んだ
った頃、夜を徹して呑みかつ議論
する京大や立命、同志社の学生ら
で賑わい、そう云う気風が受け継
がれて、大学教授や文化人が夜毎
に集う京都の有名酒場であった。
歌手加藤登紀子の歌「時代遅れの
酒場」のモデルとなった酒場でも
あった。
彼女の代表曲「知床旅情」は元々、
夫である故藤本敏夫氏がリラ亭の
常連で当時、関西ブントの仲間達
と一緒に、森繁久弥のレコードに
合わせてよく唄っていたのを聴い
て、自ら唄ってレコードを出した
ら大ヒット。
また、「ひとり寝の子守唄」は、
藤本を紹介した重信房子とお登紀
がこの酒場で呑んだ時、重信が語
った言葉を補記し、メロディを付
けて作った曲なのである。
87年秋、開店30周年パーティーに
は、藤本&お登紀夫婦をはじめ、
400名の常連粋?酔客が出席、多
くの人々に愛された居心地の良い
酒場であったが、1990年春、木村
勝次マスター逝去に伴い、閉店。
カラオケがなかった時代から受け
継がれ、我々常連客がこの酒場で
よく唄っていた曲を備忘録として
ここに記録しておこうと思う。
※編集中