少女は ぼんやりとぼくに言葉をさしだす
朧朧は魂に混ざっているの
朧朧が 私から生えかけた勇気を 親指と人差し指でつまむの
そうすると「ちきっ」て音をたてて 勇気はどこかにいっちゃうの
そして 朧朧は私のこめかみを右の人差し指と左の人差し指で
「こういうふうにして」から 私の魂のなかに隠れてしまうの
だから また私は はじまりから欠片をみつけて
勇気にしてゆかなくちゃいけないの
そう言って少女は うずくまり まるく 小さくなった
ぼくは そっと 少女に言葉をさしだす
大丈夫だよ
朧朧は ぼくの中にも みんなの中にも 混ざっているよ
うん だから大丈夫
大丈夫だよ
少女は ぼくの言葉を聞くと
少しだけ柔らかく膨らんだ 気がした