アメリカの影響力を考えると、世界中に影響を及ぼすといってもいい程その影響力が大きいと思われる、アメリカ最高裁判所について語るコミュニティーです。
日本の最高裁判所と異なり、今のアメリカ最高裁判所は議会の作った法律を頻繁に無効にします。そのため、その最高裁を構成する判事にどのような思想を持った人物を任命するかは、アメリカの政治を大きく左右します。
したがって、誰が最高裁判所判事に任命されるかについては、多くの国民が高い関心を抱いています。その関心の高さ、権力の強さゆえに、『ペリカン文書』などのハリウッド映画にも最高裁判所判事の話題が出てきます。
国民の関心が高いゆえに、各勢力は自分達の思想に近い人物を最高裁判所に送ろうと必死です。例えば、アメリカで関心を集めている問題に妊娠中絶の禁止が挙げられます。宗教右派勢力は宗教上の理由から妊娠中絶禁止を合憲にしたいと考えており、筋金入りの保守派判事の任命を望んでいます。他方、中道派やリベラル派は女性の人権保護などの観点から妊娠中絶を容認するような思想を持った判事の任命を望んでいます。
今の最高裁判所判事の構成は、保守4人、リベラル4人、中道1人となっており、非常に拮抗しております。しかし、先日、中道派である女性のオコーナー判事が辞任したことにより、バランスが崩れる可能性が出てきました。というのも、オコーナー判事の代わりにブッシュ大統領が指名したのは、宗教右派思想を持つ筋金入りの保守派であるアリート判事だからです。彼が議会で承認されれば、妊娠中絶禁止が合憲とされる可能はが大きくなるでしょう。
※その後、判事の入れ替わりがありました。オバマ大統領が女性判事2人を任命し、女性が3人になりました。オバマ氏がリベラル派であることから、彼が選任したこれらの判事もリベラル派といわれています。したがって、保守4人、リベラル4人、中道1人の構成は変わりません。
なお、今の判事の構成を人種や性別でみてみますと、黒人は保守派のトーマス判事のみ。女性はリベラル派のルース・ギンズバーグ判事のみ。※その後、女性はソトマイヨール氏、ケーガン氏が加わりました。
黒人は差別されてきた側なので、リベラル派かと思いきや保守派です。保守というイデオロギーで身をつつまなければ黒人が最高裁判事になるのは、アメリカでは難しいのかもしれませんね。
また、判事の中には保守派に任命されたにもかかわらず、リベラルに鞍替えする人が後を絶たず、保守派をいらだたせているそうです。その最たる例はフォード大統領が指名したスティーブンス判事と父ブッシュが指名したスーター判事でしょう。スーター判事は今では、リベラル寄りの中道派ですし、スティーブンス判事はリベラル派の長老格です。彼らは最初は保守思想を持った方達だったのですが、最高裁に上がってくる法律が極端に保守的なものが多いため(同性愛禁止、妊娠中絶禁止など)、結果的にリベラルにならざるをえなかったのではないでしょうか。
人種、宗教、思想、人権が絡み合い、様々な人間模様がうかがえる米最高裁判所。
多少マニアックかもしれませんが、勉強してみるとおもしろい分野かもしれません。
スレを立てといて恐縮なんですが、管理人である私も全然詳しくありません。なので、皆さんと一緒に勉強していけたらいいなと思っております。
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