少年の一人称視点で描かれた七色の夢想の中を散策するジュブナイルのような、優しさ溢れる裏に畏怖の見え隠れする北欧らしい神話的、寓話的な世界を奏でるスウェーデンのバンドです。
流麗なトレモロギターに小気味良いマーチングドラムといった、ありふれた演奏を主体にしながらも、水や風や子供のざわめきの効果音を散りばめ、コントラバス、チェロ、木琴、ピアノ、オーボエの色彩を添えて淡く進み、時折少年が空を仰ぐような伸びやかなクレッシェンドの煌く轟音が挿入されることで色濃く開花します。
同系列のバンドが先駆者を追従するだけの域を超えられず肩並びの個性に喘ぎインパクト重視の発展途上の作品を垂れ流す中、このバンドは奇をてらう事をせずに丁寧に音と向き合い細部まで自分たちの世界感を浸透させることで完成度を高めています。
陽の光が春を喚起し、寒気を耐えて一斉に息吹いた花達が演奏する歓喜のアンサンブルを聴いている感じです。
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