日本国憲法は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めています。しかるに、安定した住居という最低限度の権利さえ奪われた人々が存在します。
山谷地区やあいりん地区などのドヤ街・寄せ場では、不安定な生活をおくる日雇労働者がホームレスとしての生活を強いられています。また近年では、「ネットカフェ難民」のような新たな貧困者たちも登場してきています。
また、全産業的に吹き荒れる人員削減、とりわけ派遣労働者にかけられた大「合理化」は、新たなホームレスを不断に生み出しつつあります。
一例を挙げると、日研総業の入寮規定では退職から「3日後には寮を出ないといけない」となっており「友人や親戚など身寄りがある人はいいが、ない人はホームレスになるしかない」と真顔で語られます。派遣社員の男性は「寮内には電子レンジや冷蔵庫、布団などすべてそろい、仕事があれば問題はない。でもいったん切られると生活できなくなる。日頃はヘトヘトで寝るだけだから家具をそろえるひまもないし、就職先を探しに行ったり別の住居を探しに行く時間もない。正社員なら退職金があるから少し食いつなげるが派遣社員はそれすらもない」と話します。日研総業の規定では、寮の間取りは5種類。ワンルーム1名(寮費・4万2000円)、ワンルームに2名(1万5000円)、2DKに2名(2万7000円)、2DKに4名(1万2000円)、3DKに3名(2万円)が給与天引き。これからエアコン代(1日・個室150円、相部屋100円)や備品レンタル代(1日・220円)がひかれ、備品が故障すれば退去時に弁償費も加わります。
また、トヨタ・日産・マツダなど自動車をはじめ大企業が相次いで派遣労働者の切り捨てを打ち出したことが大問題となっています。トヨタ自動車九州は今夏に800人の派遣労働者を切ったことに加えて、新たに1000人を削減すると発表。日産自動車は派遣労働者780人、マツダは800人削減するとしています。派遣労働者の多くは身一つのまま派遣会社の寮である家具付きワンルームマンションに入居し、送迎バスで自動車工場へ通う独身者が大半を占めています。クビになれば収入源をたたれ、行くあてもないまま住居から追い出されます。トヨタ九州の派遣労働者のなかでは「“期限切れだから当然”といわれて納得できる問題ではない。派遣労働を禁止して、全員正社員にすべきだ」と切実に語られています。トヨタの「入寮の心得」では「トヨタ社員であっても他人を寮内に入れてはならない」とか「友人を宿泊させてはならない」など私生活を事細かに規制しているのも特徴です。それは仕事があるときだけ閉じこめておく「平成版タコ部屋」とも語られています。
またそれよりは恵まれた世帯でも、家賃や住宅ローンは家計を大いに圧迫しています。特に住宅ローンに基づく私有住宅は、失業の脅威による労働者支配を大いに強め、労働者階級の団結を困難にし、その抵抗力を大いに弱めてきました。そのため、資本主義国家は住宅ローンを伴う私有住宅を大量に建設してきました。(エンゲルス『住宅問題』)
このような現実を踏まえて、私たちは不動産の国有化とすべての人に安定した無料の公共住宅を要求します。
無料の公共住宅・公共食堂・その他公共サービスは、労働者階級の資本主義に対する戦闘性を大いに高め、その解放の前提条件となるでしょう。
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