the six grand plot
(6000ポンドの計画)
(オフィサー・キックスのヴォーカリスト、ジェイミーがアルバム制作経緯の全てを語る)
このアルバムは俺達が商売を抜きにして全霊こめて作った作品だ。自腹の制作費用は占めて6000ポンド、ドキュメント作成を作ってくれる人もいないから全て俺が自力で書いている。俺はオフィサー・キックスでヴォーカルを務めるJR Scallionだ。
●背景:バンドがレコード会社と契約を交わし、レコードを作り、全く売れず、見切りをつけられ、ギタリストが肺を病み、マネージャーが去り、キーボーディストが去り、ギタリストがもう一つの肺を病み、メンバー全員のクレジットで作曲をし始め、リニューアルを決意し、バンド名を変更する―という筋書きはもう太古の時代の物語。
●技術的プロセス:オフィサー・キックスは2005年の年も押し迫った頃に結成。4人で一つのグループとしてまとまり、初めて自分達のスタンスが明確に見えていると自信を持って言えるバンドだ。俺はかつては一人で作曲をしていたが、このバンドではいつも全員でスタジオに入って、アイデアを持ち寄るスタイルになった。アイデアを最優先に、最大限に活かすようにしている。普通はギターやベースで、リフや歌メロからとりかかる。次に俺がそれを録音したMDを家に持ち帰り、メロディーや詞を完成させる。スタジオではドラムのキースが大活躍で、キットの後ろから大声で次のサビまであと何小節などと叫びながら、アレンジを考えていく。ロケット工学に比べれば大したことはないが、まあ、こんな感じで曲を作っているわけだ。
●人間関係:メンバーは皆とても仲がよく、まだ十代だった頃からずっと一緒にやっている。ジェイミーとキースは共同生活もしている(当然各自の部屋は持っているよ念のため)。俺とミッキーは隣同士だし、マイクの恋人はジェイミーの妹だし、彼女の子供たちのことは彼等が生まれた時から俺達全員知っていて、全員が愛情を注いでいる。
実にハッピーなファミリーという印象を得たと思うが、やはりバンドだから、結婚生活同様にいろいろある。しかも俺達は4人。しかしここでわざわざネガティブな話題についてあれこれ文句を言うつもりはない。そもそも揉めることが実に少ないのも事実だ。
●予算:前にも述べたが、俺達はレコード会社との契約などの道筋を踏まえていない。それ故、この作業を成功させるためには資金調達が不可欠だった。壮大な事業計画を実行するほどの額は必要ないにしても、関係者が納得できる程度の何がしかは必要だ。
資金援助をしてくれたトム・ウッズ、デイヴィッド・ハンセン、アルビー・アランという人たちは本当に素晴らしい。何が素晴らしいかと言えば、パーセンテージがどうだとか儲けがどうだとかの、通常よくある話を彼等はしなかった。単純に俺達の作る音楽を聴いてみたいということで出資してくれたのだ。
●レコーディング:そうして手にしたお金で、俺達は以前に使用していたスタジオのツケも支払うことが出来た。破格の料金だったので2005年の年末に入ったスタジオだ。別に機密や陰謀とは無関係だが、スタジオのほうから頼まれているのでそのスタジオのロケーションをここで教えることはできない。とある場所の農場にあるスタジオだとだけ言っておく。そこで俺達は実にキメ細やかなサービスのもと2週間を過ごした。巨漢というに相応しい男(若い頃は大巨人だったろうに)が自分で建てて所有していた。ノスタルジックなイメージがあって、音楽的に惹きつける味のある、安っぽさとは無縁の腰の入った感じのスタジオだ。
●トラック・ダウン:レコーディングの次はミックス・ダウン。やはり以前から知り合いであったエンジニア、サム・ミラーが、オリンピック・スタジオでの仕事の合間の空き時間を使って協力してくれた。なにしろ他の多くのバンドを手がける売れっ子エンジニアだから、このミックス・ダウンが完了するまでにはかなりの時間がかかった。「ファーム」スタジオで予算は使ってしまって金銭的な余裕のない俺達のために、彼はそうして2006年の前半の半年をかけて俺達のアルバム全収録曲をミックスしてくれた。
●ギグ:サムがそうして頑張ってくれている間、当然俺達は何もしないでただ待っていたわけではない。オーストリアやポルトガルでのフェスやギグ、UKツアー、ロンドンでのフェス出演など、その半年間の間に俺達は合計50回以上のギグをこなした。オフィサー・キックスとしては初めてのロードだったから非常に大きな意味を持つものだった。この期間に新曲も作った。
●マスタリングと製品化:2006年の夏の終わりにはツアーでの疲れもすっかりとれ、気合十分でアルバム完成最後の段階に突入した。ブリックストンにあるデイリースタジオで数日を通夜してさらに2曲レコーディング。そしてプロデューサーのアレキサンダー・ウルフとエンジニアのロイ・マーチャントの二人がミキシングを行い、10月に丸々1週間かけてアルバム全体の仕上げにとりかかった。その後アルケミーのエンジニア、レイ・スタッフと一緒にマスタリングをして、俺たちのウェブ・サイトを作ってくれたヴァージョン・インダストリーズが最高のロゴを考えてくれて、そしてマット・ハットフィールドが素晴らしいアートワークを完成させてくれた。めでたしめでたし、12曲収録のアルバムの完成だ。
以上が6000ポンドの費用でアルバム制作した経緯の全てだ。俺達はこのアルバムを大いに気に入っている。みんなもそうであればと願わずにいられない。
Oi oi,
Officer Kicks
THE END / THE BEGINNING
OFFICER KICKS are:
●Jamie Scallion:vocals ●Jamie Fisher:guitars ●Michael Skill:bass ●Keith Wickham:drums
Official HP:http://
※Side Out Recordsアーティスト紹介より