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リュシアン・ルバテ

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詳細 2015年5月11日 22:39更新

 リュシアン・ルバテ──卓越した西欧教養主義者であると同時に、ナチスの悪辣な信奉者でもあった男。
 紋切り型の善意と紋切り型でない善意があるのと類比的に、われわれは二種類の悪意を区別することもできるだろう。すなわち幼稚で愚かしいだけの悪意の他に、唯一無二の悪意、掛け値なしに取り替えのきかないない悪意というのもまた存在するのだ、と。人種の報復としてのナチズムに積極的に加担した対独協力作家のルバテを語るのであれば、まずは、悪についての認識を濃密にすることが不可欠であると思われる。たとえばオホリバの乳房の引き裂きを幻視したエゼキエルの、近代における末裔としてルバテを捉え直すこと。あるいはツェッペリンの黒い弾丸に星と月の死滅を見、あらゆるものの破壊を見て、そして以後は新しい存在となるもののみが残ればよいと終末論的に呟いたD.H.ロレンスに近似する作家として、ルバテを考えてみること。悪とは忌むべき毒牙であるだけでなくまた解かれるべき問題でもあるのだ。
 日本語で読めるルバテの唯一の小説『ふたつの旗』(上下巻二段組みで1400頁)の翻訳出版は1997年だが、その真率な読解は、世紀末を経て結局新世紀に持ちこされた。フランス本国ではいまだその名の憚られる作家ではあるが、彼の頴脱した異能からしてもここアジアの東端にコミュの一つくらいあってもいいだろう。

【年表】
1903年 公証人の息子として、ドーフィネ地方の小さな村に生れる。
1929年 極右の日刊紙「アクシオン・フランセーズ」に入り、時評を担当。
1942年 時事評論『残骸』を刊行。ナチス=ドイツ占領下のパリでベストセラーになる。
1946年 対独協力の咎で死刑宣告。後に減刑(52年7月に釈放)。
1952年 獄中で長篇小説『ふたつの旗』を完成(着想は41年に遡り、爾来執筆に取り組んでいた)。ガリマール書店から刊行。
1954年 小説第二作『熟れた穂』を刊行。
1969年 音楽評論『ひとつの音楽史』を刊行。
1972年 故地で死去。

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