伴奏助手という制度がなく、試験時には学生に伴奏をさせることを原則とする武蔵野音大の管弦打楽器、声楽専攻において、ピアノ伴奏を引き受ける学生の存在は必要不可欠である。そのためピアノを弾く学生にとっては(ピアノ科に限らず)負担になるし、ピアノの担任教師により伴奏活動を認められない学生もいるため、一部の学生に伴奏が集中してしまうことも多い。しかし伴奏者としては、さまざまな専攻の学生とアンサンブルをし、レッスン等でさまざまな先生たちに出会えることは大きな喜びでもある。
しかし同時に大量の伴奏譜を読むことや、人のために時間を使うことが億劫に感じられるときもある。仕方ない、人間だもの。
そこでこのコミュニティを通じてそのような苦労を一人で抱え込まず心の内を吐き出し、「あなたも大変ねえ」と共感し合い、伴奏をすることを喜びに変え、時には諦めてその苦労に向き合う活力を生み出せたらと思う。そして何より伴奏の喜びを広く伝え、武蔵野にアンサンブル経験を積極的に増やそうとするピアニストが増えることを期待する。
ソリストもまたこのコミュニティに参加し、伴奏者がどういうときに伴奏をやって良かったと思うか、どんなことが伴奏者にとってうれしいことかなどを知り、共演者とのコミュニケーションに生かしていただきたい。逆に、「お願いしている立場だし面と向かってはなかなか言えないけど、実は伴奏者にこういうものを求めてます」、このような情報交換の場としてもご利用いただきたい。
しかし伴奏という活動は人間対人間の行為であるためお互いに対する不平不満もあると思う。それをこの場でぶつけていただくのは(それによって不満を共感してもらったりなだめてもらうことで浄化されることもあるから)大いにかまわないと思うが、個人的な批判やプライバシーの侵害には大いに配慮していただきたい。よいアンサンブルはお互いに対する敬意と優しさがないと生まれ得ないことをお忘れなく。