「名曲コミュ」シリーズ?
30年売れない状態で継続している奇跡のバンド。
6人とも曲を書ける「ムーンライダーズ」という存在は、
すでに日本の至宝といえる。
斜めから見たような個性的な曲が多い中で、
珍しくど真ん中を貫いている。
慌てた鈴木慶一も陳腐なものにしないために、
言葉に才気のすべてを注ぎ込んだ1曲だ。
「幸せの洪水の前で」 ムーンライダーズ
作詞 鈴木慶一 作曲 白井良明 1992年作
君のすべて 手に入れたあとに
愛の論理 確かめたら
昨日よりも 少しだけ今日は
愛してる そうつぶやいた
幸せの洪水 目の前にして
君とぼくの未来はもう
水の中 沈んでく
愛してるって 言っても 間にあわない
君の右手を 離さない
産まれた時 手に入れたものは
百万の 幸せのかけら
昨日よりも 強い高波を
求めて 走ってきた
幸せの洪水 目の前にして
ただ立ちすくむだけで もう
子供達 大人達
運ぶ舟も 間にあわない
朝のニュースも 間にあわない
紙の言葉に すがれない
君の右手を 離さない
昨日よりは 長く生きれない
溢れる 幸せ 持っても
海が粉々に 砕けてく
サーフボード 降りる時がもう
すぐそこで 渦巻いて
舟は何を乗せてゆく
舟は何を捨ててゆく
波の先に辿りつけない
幸せ 掴む 手が沈む
愛してるって言っても 間に合わない
君の右手を 離さない