アッシュ
君の無事な姿が見られないから
ぼくは不安でたまらない
君は言ったね
”おれたちは住む世界がちがう”と
でも ほんとうにそうなのかな
ぼくたちは肌の色も目の色も
生まれた国もすべて違う
でも ぼくたちは友達だ
それで十分じゃないのかい?
ほかに何か必要なものがあるの?
ぼくはアメリカに来て
ほんとうによかったと思ってる
いろんな人に会えた
そして何より…
君という人に会えた
君は何度もぼくに聞いたね
”おれが恐ろしいか?”と
でも ぼくは
君のことを恐ろしいとおもったことは
一度もないんだ
初めて会った時から
それどころか 君はぼくより
ずっと傷ついている
---そんな気がしてしかたなかった
おかしいだろう?
君のほうがぼくよりずっと頭もいいし
身体も大きく力も強い
それなのに ぼくは---
”君を守らなければ”
とずっと思っていた
ぼくは何から君を守りたかったんだろう?
ぼくは運命から君を守りたかった
君を連れ去り
押し流す運命から
君はヘミングウェイの小説に出てくる
豹の話をしてくれたね
山の頂で死んだ豹は
自分が戻れないことを知っていたにちがいないと---
ぼくは答えた
君は豹じゃない 運命は変えることができる---
そうだよ アッシュ
運命は変えることができるんだ
君は1人じゃない
ぼくがそばにいる
ぼくの魂はいつも君とともにある
-----「BANANA FISH」19巻より抜粋
「BANANA FISH」のコミュニティが少ないので
作りました。
アッシュを死に追いやってしまった反面、
アッシュの心を救った、英二の手紙。
何度読んでも号泣させられます。
世界で一番だいすきな文章です。
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